恩を売る

現在は、個人事業主としてあちこちの企業の様々な仕事とコーチングをを生業にしています。
そのうちの1つに、某外資系企業で代理店のマネジメントを担当しするという仕事があります。
今日はその話を少し。

社内の営業マンから、
「製品ABCを買いたいというお客様がいるのですが、代理店に相談したところ、製品ABCを販売するには6台以上でないと駄目ですといわれてしまいました。(お客様の希望は2台)
それであれば、その製品に付属するソフトウェアだけでも2台分販売して欲しいとの話だったのですが、それは弊社との契約でできないことになっていると断られてしまいました。なんとかなりませんでしょうか?」
というお願いMailがやってきた。

「弊社との契約」でできないというのは、代理店担当側の私の部署がOKすれば、OKだということだ。

代理店と交渉し、まぁ4台なら販売しましょうというところまでは、下げることができた。
次に上司と交渉したところ、本当にそれはなかなか出ない製品なので、特別にソフトウェアだけ販売してあげてもよいという許可もとれた。

そして、私は営業マンに以下のようなMailを返した
「代理店と交渉し、4台の販売なら可能と言う線まで引き下げました。こちらで一度ご検討いただけますでしょうか?」
営業マンからは、「忙しいところ迅速な対応有難うございました」という御礼のMailをもらった。

同僚が、「どうしてソフトウェアだけ売ってあげないんですか?せっかく上司のOKが出たのに」というので、「製品を売るのと、ソフトウェアだけ売るのと、どっちが代理店の得になると思うの?」と問い返した。
お客様というのはエンドユーザだけではない、私は代理店のマネージャーなのだ。

「それからね、4台はどうしても無理です・・・・と向こうが言ってきたら、じゃぁ、交渉してソフトウェア2台分出しましょうと、言ってあげるよ、もちろん」と言ったら、
同僚はぽかんとした顔をして、「なんでそんな面倒なことするんですか?」

「もしあなたがその営業マンだったら、どう思う、1回目も交渉してもらって、さらに本来無理であろう交渉を私が苦労してやってあげたと思わない?
一度目からソフトウェア出したら、営業マンは「なんだ出せるんじゃん』と思うだけだと思わない?」
と聞くと、腑に落ちたようで、「本当にyoshikooさんって嫌な性格ですね」とつぶやいた。

好きでそんなことしているわけでもない、
別に私は個人事業主だから評価が上がるわけでもない。
でもこういう社内政治はすごく後になって効いてくるのだ。
こういう風な見せ方をしておくことで、うちの部署は、頼りになる部署だという印象を与えて、社内の他部署のために頑張ってくれる部署ということになるのだよ。

社内政治というと上司のゴマすりとか、派閥争いとかそんな低次元なことだと思っている人は多いし、勿論そんなことは自分はやりたくないと言う。

私は、社内政治とは、自分の一挙手一投足がどのように社内から自分と自分の部署が見られるかを意識することだと思う。

個人事業主になったときに、もう本当の意味での上司も部下も二度と持ちたくないと思ったが、もしも仮に将来会社員に戻ったときに、また部下を持つことがあるとすれば、私のいう意味での社内政治のわからない部下だけは採用したくない。

冗談抜きでの社内での生き死にに関わることだ。

追記:
2015年現在、この記事を書いた2007年は社内政治に強い上司の下にいた。
その後、上司が代わったり転職したりして、社内政治がわからない部下よりも、タチが悪いのは社内政治に弱い上司…だとしみじみ思った。

ここで登場する同僚と同じような発言「嫌な性格ですね」を私も何度かして、私はその時に上司に懇懇と怒られて、徹底的に社内政治の重要性について叩きこまれたものである。
考えると物凄く親切な上司である。
私は同僚との場面において、ニッコリして終わりにしただけであって、そのことの重要性についてはまったく説明しようと思わなかった。
そうして、上司と私を対比してみると、本当に嫌な性格だな…と、しみじみ思う。

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