お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?

 「お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?」の著者である臼井由妃さんは、TV番組の「マネーの虎」に出演されていたり、何冊も著作をお持ちの有名な方らしいのだが、TVをもたず、ここ数年あまり日本人の書いたビジネス書や自己啓発書、ノウハウ本を読まない私は、この「お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?」を読むまで、まったく存じあげなかった。
 読んだきっかけは、たまたまネットにこの本が取り上げられていて、その内容が、私が最近、感じていることに近いな…と思ったのと、「年収150万でどうやったら生活できるの?」と思ったことから。

 倹約の本をいきなりKindleで買っちゃう時点で、その時点で倹約としてはOUT!な気もするのだが…と思いつつ、サンプルを読む限り、文章のテンポが読みやすかったので、ポチッとしてしまった。

 この本では、節約は「我慢の3K (厳しい・細かい・苦しい)だが、倹約(著者は『賢約』という言葉をあえて使っている)は、心地よい3K(健康・環境・工夫)であると述べ、具体的に著者の行っている賢約のノウハウと、それがどのような背景からきていて、どんな効果があるのかをわかりやすく説明している。
リズムもあるし、文章もわかりやすいのであっという間に読める。

 私自身がお金について、いわゆるMoney Managementについて考えるようになったのは、ここ3年ぐらいである。

 それまでは、資産運用なんて考える時間があったら、スキルアップして稼げる金を増やすほうが、どう考えても手っ取り早いし、楽で効率的だと思っていた。多種多様な金融商品を調べたり、株価に一喜一憂したりというのに私がまったく適性がないというのも背景にある。

 サラリーマンとしては、それなりに稼いでいるほうだったので、おかげさまでさして計画性がなくても、一人娘を奨学金を借りさせることもなく、私立の大学を卒業させることもできたが、計画性がまったくないので、ローンの繰り上げ返済なども熱心ではないし、とにかく組織に属するのが性に合わないので、ストレス解消に回すお金もすごかった。
それでも、社員時代はボーナスからある程度まとめて貯金していたが、フリーランスになってみると、お金が定期的に定額入ってくるということがないし、貯金のタイミングがよくわからなくなってしまって、ずるずるときてしまった。

 そんなダメダメなマネーライフだったが、2年ほど前に、もう娘の学費も終わったことだし、そろそろ真面目にローンを返済したり、貯金しないとね…という考えが浮かぶようになった。そんなときに以前読んだ、本多静六氏の本を読み返す機会があって、詳細はここでは省くが、とにかく収入の4分の1は貯金して、生活は残りの4分の3で回しなさいという非常にシンプルな方法を試す気になった。

 このやり方は、私にはとても向いていた。何よりわかりやすい。入ってきたお金を4分の1別口座に入れておけばいいだけである。
ただ、この別口座っていったいどこに入れると一番良いのだ?というのが気になって、少し金融商品なるものを調べてみた。こういう場合、最初に上がるのは投資信託なのだが、私は投資信託を扱う会社にいたことがあるので、投資信託だけは嫌だ‥というのがある。
かといって、株とかFXとか日々チェックするようなものも向いていない。まぁ、こんな中での選択肢としては、定期預金ぐらいだよね‥と、金利を調べてみたら、恐ろしく安い。

今はゼロ金利なので、もっと安いが、そのときも0.03%ぐらいで、うーん、金利が安いというのは、聞いていたがこんなに安いのか…と改めて実感をもってわかった。

ここで気づいたのは、こりゃあ金利の良い商品を探すより、金利分を倹約するほうがどう考えても、てっとり早いということだ。
それになにより、金融資本(種銭)が私の手元にはさしてないのだから、生み出す金利なんて話にならないぐらいである。

 同じ時期に、夫と別居が始まり、これまで長いこと任せきりでいた炊事を自分ですることになった。食材の買い物を自分でてみて、自炊をすると、まぁいかに外食というのは割高なのか‥というのがしみじみよくわかった。
(このあたりの詳細については、「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます。」という書評の記事に書きましたので、詳細はこちらを)

 料理をするようになると、300円の価値が変わった。300円違えば、ちょっといいお肉にグレードアップしたり、もちろん調味料だって少しこだわったものが変える。
 金利と食材の値段を意識することによって、それまでの300円とそれ以降の300円が私の中で劇的に位置づけを変えた。(ちょっと大袈裟なようだけれど、本当)

 こんな流れで、私の意識は収入を増やすよりも、倹約を考えるようになった。といっても、具体的に目標数値をもって動いているわけではない。お財布を開ける前に、ほんの少し考える時間をとるようになったぐらいだ。

 ちょうど並行して、自分の身の周りをスッキリしたいという気持がむくむく湧いてきた。いわゆる断捨離をスタート。さんざん色んなものを捨てると、まず捨てたものたちに申し訳なかったな‥‥という気持がわいた。まだ使えるものを処分するのは本当に後味が悪い。
断捨離後は何かを買って家に持ち込もうとすることに、またいずれは捨てなきゃならないんだよなぁ…と、買い物に躊躇するようになった。
 モノが増える=ゴミが増える、煩わしさがふえる、面倒がふえる…という風に思うようになってくるので、こうなると何か買う必要があると思ったときに、「何とか今持っているもので、代用できないだろうか?」「いったい何回それは使うだろうか?」という発想が出てくるようになり、これがまた倹約につながることになった。

 この「「お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?」の本にも書かれているが、こういう考えから倹約につながると、お金をつかわないことで、かえって心が落ち着いてくる。

 著者の臼井由妃さんは、贅沢な生活をしていたのが亡くなった旦那さんの借金3億円を返すために、倹約生活にはいり、やってみたら倹約すればするほど快適になったということだ。
 それ以前に贅沢な生活をしていたこともあって、ここはお金を使わなくてよいが、ここにはお金を掛けないと心も生活も貧しくなるというポイントがたくさん書かれている。

 本を読んでなるほど…と思ったのは、自分の住んでいるエリアの新聞や広報誌、近所の人の口コミなどから地元で催されているイベントや面白い場所を探して、コストをかけずに楽しい時間を過ごし、さらに地元に友人や知り合いを作ることで、より日々を楽しくしたり、安全性を守ったりするという発想。まだ、40代半ばの私には、地元に知り合いが多いことの良さについて、実感がそれほどわかないが、年齢が上がるとこのことがすごく安心につながる‥というのは、わかる気がする。

 それから、モノを買う際に自分の耐用年数を考えるというのも参考になった。著者は58歳。不動産の購入もこれから子育てをする20代の人と、自分の生活スタイルはまったく違うし、そもそも残りの寿命も違う。
モノが良くて、50年持ちます‥と言われても、50年は必要ない…という判断をつけるわけだ。

機械や道具に頼るよりも、自分の心身を頼りにしたい。心身を鍛え、知恵を働かせ豊かに暮らす。ちょっとした工夫をしながら、生活の向上をはかう。それが、年150万でできる豊かな倹約生活 −−−すなわち「清富(せいふ)」生活−−−が目指すところです。

 私も食洗機も炊飯器も圧力鍋ももっていないが、自分でできるうちは自分でやろうと思う。自分の手を動かしてみると、色々とものを考えるようになる。洗い物の順番とか、どうやって手をあまり荒れないようにするかとか、じっくり煮物をしている間は何をすべきか?とか。そんなことを色々調べたり考えたりして、うまくいくととても嬉しい。
しかも家事なんて失敗しても誰に迷惑をかけるわけではない。家事が趣味となってくる。
こうなってくると、家事のアウトソースって楽しい部分を外に出すから、なんだかもったいないなぁという気すらしてくるのだ。

日々の生活コストが下がることの一番のメリットは安心感だと思う。私のいう「安心感」というのは、貯金が増えることではなくて、60万で生活していたのが、30万で楽しく生活できるようになれば、仕事を選べる幅がずっと選べるということだ。
残業の多い仕事、ノルマのきつい仕事、理不尽な業務命令、そういうものを自信をもって手放せるし、ギリギリの収入に執着しなくて済むというのは、とても気持が楽になるものだ。

色んなことに追われたり、キリキリする暮らしがとても苦手。楽しい倹約がもっと上手になると、自分の毎日はもっと楽しいだろうなぁと思う。

お金の使い方にメリハリをつけて、段取り良く気持よく過ごせるようになるために参考になった一冊。

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