大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法




面倒な仕事を後回しにしてしまうという悪い癖がまた復活。
瑣末な手をつけやすい仕事ばかりしていて、自分でもこんなやり方やっていたら、どこかのタイミングで破綻するな…とうっすらわかっているので、どうも気持も落ち着かない‥という状態。

落ち着かないことがまたエネルギーを奪い、そんなんだから、集中力のいる仕事ができない‥という悪循環。

まずいなぁ…と思いながら、秋葉原の書泉をウロウロしていたときに目に着いたのが、「大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」という本。2016年12月末のことだった。
表紙には大きな文字で「DEEP WORK」と書いてある。

「おお、これは!セレンディピティ(serendipity)ではないだろうか?」と、手に取りそのままお買上げ。
(後で思い返すと、単に本を買うのが好きなだけで、常に購入の言い訳を探しているだけだったような気も…。)

それは私に「喝!」を入れてくれる本だった。
先に結果を述べるとおかげでモチベーションが上がって、年内に重要な仕事を片付けることができ、落ち着いた気分で年始を迎えられた。

この本の中での重要なキーワードが
Deep Work(ディープワーク) Shallow Work(シャローワーク)

Deep Work(ディープワーク):
あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。こうした努力は、新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない。
Shallow Work(シャローワーク):
あまり知的思考を必要としない、補助的な仕事で、注意散漫な状態でなされることが多い。こうした作業はあまり価値を生み出さず、誰にでも容易に再現することができる。

この本では、ディープワークが如何に重要であるかを第一部で説明し、第二部では、それができるようになるにはどのように仕事や自分を変えていくかというのが説明されている。

ディープワークの成功例として、著者自身の話もあるし、カール・ユングや著名な大学教授でありベストセラー作家となったアダム・グランドなどの例をわかりやすく紹介している。

このように実際にディープワークを行っている人を見ていくと、

成果を最大にする働き方=費やした時間×集中度

という公式が見えてくる。

マルチタスクが生産性を落とすというのは、もはや一般によく知られていることだけれど、それがなぜ生産性を落とすかということの説明として、ソフィー・ルロワというミソネタ大学教授による「注意残余 attention residue」という言葉がわかりやすかった。

私たちは別のタスクに取り掛かる時に、注意力をそう簡単に次に向けられないし、ましてや集中力をはっきりするのは難しい。なぜなら前のタスクに、注意力が残ってしまい、注意力はしばらく分裂してしまうからだ。

例えば、10分ごとにメールの受信トレイをちらっと見るくらいは問題ないと思うかもしれない。でも、ちょっとチェックするだけでも注意はそれる。もっと悪いことに、すぐに対処できないメッセージを目にした場合、未処理の仕事をかかえて主業務に戻ることになる。切り替わらないままの”注意残余”のせいで、仕事の生産性は低下する。

注意残余を引き起こすのは、10年前はメールや同僚とのお喋り、上司からの突発的な仕事の依頼、取引先からの電話などがメインだったが、今はそれらにさらに追加されてチャットもあればSNSもあり、ますます私たちの注意力が奪われているわけだ。

一方で注意散漫のコストは非常に計ることが難しい。
測定の一環として、ボストン・コンサルティングのあるチームで平日の1日、完全にネット接続を止めるというテストが行われた。最初は大反対にあったこのテストは実施された結果、クライアントを失うこともなく、仕事が楽しくなり、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、そしてクライアントによりよいものを提供するようになったそうだ。

だとすると、なぜ私たちは、職場で毎日ネット接続を必要としているのだろうか?

著者はこれについて2つの理由をあげている。

1)迅速な応答は私たちの生活を楽にするから

すぐに迅速な応答がもらえるのであれば、私たちは事前に計画を立てずに済ますことができる。返事に2〜3日かかるとすれば、私たちはその分バッファを見て仕事を調整しなければならない。
コンビニエンスストアや長時間営業のスーパーのおかげで、私たちは買い物の計画を立てなくて済むようになったのと同じことで短期的には非常に便利だからだ。

2) 受信ボックスを処理していると仕事をしている気になるから。

これはとてもわかりやすい。
どこの職場でも見られる簡単に片付けられる仕事はみんな大好き。終わるたびに成果が上がっているように感じる。これは職場の人もそうだし、組織も同じ。
そして、いつも残っていくのが第二領域の「緊急ではないが、重要である」仕事ということだ。
対処療法は楽だけれど、抜本的な手を打つのはずっと大変だし、結果もすぐには出てこない。

著者はこれを「最小抵抗の原則」と呼んでいる。

最小抵抗の原則:
ビジネスシーンでは、さまざまな行動の純利益への影響に関し、明確なフィードバックがなければ、その時点で最もたやすい行動を取りがちである。

つまり、メールに返信したりチャットに回答したりとシャローワークをするのは、それによる損害を計算することができないために、よりたやすい仕事のため、それらを片付けたくなってしまうのだ。生産性を意識することなく…。

特に知的労働はモノを作っているわけではないので、生産性が測りにくい。でも、自分はバリバリ仕事をしている、忙しくしている、つまり有能且つ有用な人材であるというのをPRするのに多忙さを装うことが多い。
100個のモノを作り上げたと同じように、100通メールを返した私ってすごい!みたいな…。しかし、実際には知的労働においてこれは全然生産性と関係ないことがほとんどだ。

そして、これまたややこしいのでは、決して本人は装っているわけではなく、本人自身は多忙すぎて明確なOUTPUTが出せないと心から思っていることだ。

生産性の代用としての多忙:
仕事において生産力や価値があるとはどういうことをかを示す、明確な指標がなければ、多くの知的労働者は工場における生産性の指標に戻っていく。つまり、目に見える形で多くのことをなすことである。

【ディープ・ワークの利点】

1.神経学的利点 — 楽しいことに意識を向ければ、苦しみの中にも喜びを感じることができる

2.心理学的利点 — ディープワークは「フロー」状態を生み出す

3.哲学的利点 — 仕事の意義を生み出す

上記の3点を著者はディープワークの利点として挙げている。なんだか難しそうに感じるが、簡単にいうと、困難な仕事を周してやり遂げるのは実は楽しいことだし、やり遂げる前のプロセスだって集中して行う仕事は実はすごく楽しい、そして仕事としての成果物も大きいからまたまた楽しくて嬉しくなるということだと私は解釈している。

そう、ディープワークは良いことばっかりなのだ。

いや、確かにそうかもしれませんけれど、そう簡単にはいきません。なぜなら僕の職場は…とか、私の自宅は家事育児の負担が…とか、アホな上司が…とか、しょうもない部下が…とか、そもそも自分自身が集中力がなくてとか…、多分色んなケースがあると思う。

で、それらへどのように対応するかについては個々に分かれると思うが、主な対応策が、本書の第二部「『ディープワーク』を実践するために」に具体的に書かれているので、自分に当てはまるものを選んで試していくのがいいと思う。

で、試したけれどどうも難しい…、でも、自分にはディープワークが必要だと感じる方は、コーチングへ。一人でウロウロしていても時間ばっかりかかるだけだからね(笑)

ちなみに私はこの本を読んで、Facebookからできるだけ離れるようにした。
同じSNSでもTwitterは知らない人ばかりなので、注意残余を引き起こさないのだが、Facebookは親しい人とのつながりが多いため、注意残余がかなり高いのでかなり集中力が落ちるし、コメントしたくなるし、コメントすれば返信も読みたいし…と、物理的な時間もかなり取られるからだ。

さらに、色んなことを断ることにした。そして、これまで断るときには「xxだから、お引き受けできません」「xxxのために参加できません」という理由を説明してお断りしていたが、理由をつけずに、シンプルに「できません」「行けません」ということにした。

これらのおかげでディープワークができているか‥というと、まだそこまでいけていないが、おかげで私は残タスクが増えすぎることがなくなり、ストレスが減り、毎日の満足度が上がった。一つ一つの集中力は確かに上がっている。
集中力が上がると、仕事は追われるものではなくて、追うものになって楽しい。

そして、私の人生のテーマである「愛ある生活。豊かな生活。静かな生活。」というものにどんどん近づいている手応えを得ている。

さて、次は成果物だな…と、結局、これが一番難しいのだけれどね。

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