本との付き合いを考える1年

毎年、1年間に100冊程度の本を読み、さらには100冊以上の本を1年間に買う私が、2017年は1冊も本を買わないという目標(野望?)を立てた。

どこから、こんなことを思いついたかというと、「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」という本の中に、丸1年服を全く買わないという目標を実行し、買い物の習慣が一変したという人の話が出ていて、それを読んだのがきっかけになった。

自分の本棚を眺めていると、長年積ん読になっている本が山のようにある。
リチャード・ドーキンス、トクヴィル、レヴィ=ストロース、スティーブン・ビンカー、マッド・リドレー、フランシス・フクヤマ、などなど。
重たくて長い本で且つ簡単に読みこなせないので、ついつい後回しになっているのが積読本たち。

「いつか読もう…、時間がじっくり取れた時に…」というやつだ。
そしてさすがに46年も生きてくると、そんな時間が天から降ってくることなどない…、ということに気がつく。
時間は自分で決めて創り出すしかないのだ。

この手の重たい本が後回しになるのは、もう1つ理由があって、「今」の内容を書いているわけではないので、「今」読まなきゃいけない本にならないのだ。
だから、この手の本はずっと本棚に鎮座してしまう。
(逆に言うと、その時が「旬」でその時期を逃してしまったら、読まなくていい本というのは、タイミングを外した時点でブックオフに出してしまっている)

この手の本と言うのは、色んな本に参照されていることが多い。
例えば、「生まれか?育ちか?というようなピンカーも言う『Blank Slate』の話に決着をつけることは難しい」…というような文章に結構な確率で会ってしまうと、その度に「ピンカーのあれ、読まなくちゃ!」となるので、手放してしまってもまた買ってしまうことが多く、そんなことを繰り返しているのでもう手放さないことにして、本棚の中に保管されていることになる。

でも、これが結構なプレッシャーをかけてくる。
書店で目についた「今」読まないとつまらなくなってしまう本をうかうかと買って読んでいるとき、頭のなかに「こういう薄っぺらい本を読んでばかりいて、本来読むべき‥と思っている本が読めてないのだよなぁ…」という声が聞こえてくる。

こういうのは、好きで繰り返し読んでいるような本のときもやってきて、こうなるともう集中して読めないし、罪悪感みたいなものに取り込まれる。
一方で、じゃぁ読むべきと考えている本を読んでいればいいのか?というと、これはこれで目の前に買ってきたばかりの今読まないとつまらなくなってしまう本があれば、当然そちらが気になり、集中できない。
この場合、集中できずに読破できるような本でもないので、まったく意味のない読書時間になってしまう。

そんなこんなを長年繰り返し、さすがに、1年に1冊も買わなければ、少なくとも100冊本が増えることはないのだから、多少なりともこの手の「一度は読んでおきたい本」に手を付けられるのではないか‥と思ったのだ。

読書家というよりも、単に本を買うのが好きな人間である…というのを自認している私。

挫折する可能性が非常に高そうなので、この決断はかなり迷った(…って言っても、2日ぐらいだけれど、即断即決の私には珍しいこと)

少し話がずれるが、コーチングを通じてよくわかってきたのは、人はすごく小さいことでも挫折したり失敗すると、自分への信頼を少しずつ失い、新しいことを始めたり、変化を受け入れる気力がなくなってくるということだ。
だからできるだけ失敗は避ける。
どうしたら避けられるかというのは、単純でチャレンジはできるだけ小さいこと(スモールステップ)にわける。そしてスモールステップを1つずつ丁寧に確実にこなすことだ。

大きな目標を立てると当然だが失敗しがち、あまりにしょっちゅう目標に挫折する人というのは、「どうせできないだろう…、だから大きな目標を立てちゃおう」となる。
これまでたくさん挫折してきた、だからガラッと自分を変えなくちゃいけない、という考えから、大きな目標を立てる‥という考えになる人も多い。
さらに、もう一つ厄介なのは、大きな目標を立てると挫折してもしょうがない…と自分に言い訳ができるという面があることだ(本人は気づいていなけれど)

で、達成できなくてまた自己肯定感が下がるという…まさに悪循環。
目標が大きい事自体は悪くないのだが、その達成を最短距離でやろうとするから、最初の一歩が大きすぎて手を出していきなり失敗して自己嫌悪に陥ったり、もっとひどいのは最初の一歩が大きすぎてその一歩が踏み出せないとなることだ。

派手な人生の一発逆転みたいなことをいつまでも考えるのじゃなくて、じわじわと目標に近づいていくことができる人が次々と好循環を創り出すことができるのだ。

ということで、私自身もあまりに無茶な目標だと即挫折しそうなので、買うのは駄目だけれど、図書館から借りるのはOKというルールにした。
あとは、本を1冊も買わなくても、定期購読をしている雑誌は3種類あるし(「MONKEY」「考える人」「ハーバード・ビジネス・レビュー」)、新聞もあるし、このあたりで何とかなるだろう‥と。

仕事でどうしても必要になりそうな本は、国会図書館に行けばいいだろう、自宅から1時間もかからないし。

ということで、2017年元旦より、本を買わない生活スタート。

実際にやってみたら、これがもうすごく良かった。人生が充実したと言っても、過言ではない。

とにかく読書の時間が充実してくるし、自分の中に「食い散らかしている感」がない。

気分も落ち着いているので、今年はすでに長めの本のレビューも3本書いている。今まで本のレビューを書こうと思いつつ、書けていなかったのは、レビューを書くには再読に近いことをする必要があって、「再読=時間のムダ」という気持がどこかにあったからだ。

1ヵ月に読んでいる本のリストを眺めても、今までなら時間がもったいなくて読めなかった夏目漱石やら永井荷風のあたりをじっくり読んでみたり、集中力のある本をきちんと読み終えていたりとしていて、これまでよりずっと充実している。
(読んでいる本・読み終えた本はMedia Markerで管理しているので、興味ある方はをご参照ください。yoshikooのバインダー)

「あるミニマリストの物語―僕が余分なものを捨て人生を取り戻すまで」という本の中にはこんなことが書いてあった。
「面白いことに、本が山積みになっていない今の方がずっとたくさん本を読んでいるんだ。」

そう、その通り、どうやらそういうことらしい…ということに、遅ればせながら気がついた。本を買わない生活54日目。
どこまで続けられるかしら?

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