娘へ贈る手紙: 57.6%という就職内定率を前にして

厚生労働省の2010年11月16日の発表によれば、2010年度(2010年4月1日〜2011年3月31日)大学等新卒者就職内定率は、それによると2010年10月1日(9月末)時点で57.6%で、1997年度分以降、過去最低の値を示していたため、報道でもかなり取り上げられていたし、あなたの通う大学でもニュースになったのでないかと思います。

2010年11月現在、大学1年生であるあなたやあなたの友人たちが将来を不安に思うのも無理はないことだと思います。
毎日のように新聞やニュースで新卒の就職がない話は繰り返されているし、おそらく大学のほうもそれに向けて様々な就職活動に役立つキャリア教育(のようなもの)を行っているのでしょう。

先日、あなたは夕食の席でお友達とした話をしてくれましたね。
話の内容は、資格取得をしっかりおこない大学院まで進学した後に、就職活動を行うというものでした。

さて、お母さんがこの話しを聞いて思ったことを二つ書いてみます。

まず1つ目、もしもあなたが将来の就職のために、いくつかの資格を習得をすると考えてみるのであれば、取得しようと思う資格をまずは紙に書きだしてみましょう。
聞いている限り、漢字検定、秘書検定、英語関連、それからあなたが今勉強している心理学関連の資格が並ぶのではないかと思います。

書きだしてみたら、それぞれの横に試験の予定日を記入してみましょう。
例えば、TOEICなら2011年6月等、そんな感じで適当に記入していけばOKです。

終わったら、それを受験時期から、時系列に順序から順番に並べてみましょう。
1つの月に2つの資格試験が重なっていたり、学部試験と重なっていて取得が難しそうだと思ったら、その試験の次の受験日を調べてみるなどして、調整してみてください。
できた表を眺めてください。

どうですか?

並べてみるとかなり忙しくありませんか?
しかもそれらの資格はすべて3年生のうちに取得しなければ、就職活動で効果的に使うことができません。
大学院では大学院の別の勉強があるはずですから、これは必ず3年生までにやりきりましょう。
あなたがしっかりと就職活動をして悔いのないように学生時代を過ごしたいと思うなら、きちんとした時間管理が必要す。

学生のうちに時間管理をきちんとできるようになれば、あなたは社会に出てからもすごく有利なスタートに立てるはずです。時間管理についての詳しいことは、また別の手紙で書いていこうと思います。
まずは自分なりに、時間を上手に使うということを意識して毎日を過ごしてみてください。

書いた表は部屋のどこか見えやすいところに貼っておきましょう。

そして、「人間の可能性は無限にあるけれど、人間の持っている時間は有限である」という言葉を頭の片隅に入れておいてください。

2つ目は、大学院というのは、就職活動のために行くような場所ではない…ということを理解してください。
大学院は自分の学びたい専門の教科をさらに深め研究する場です。
教授に言われたことを受動的に学ぶ場ではありません。
自らが学びたいことを持って、能動的にその学問を究めていく場です。
もしもあなたが、進路の一つとして、大学院を視野に入れるのであれば、学部生の時代の間に何を研究するかを見つけてください。

また最低でも英語の専門文献が読めて、且つ英語での情報発信が必要になってくると思いますので、語学に関してはできるだけ熱心にやっておく必要があると思います。

社会に出ると知的好奇心に駆られるまま何かを学ぶということに割ける時間はほとんどありません。
気がつかないかもしれませんが、あなたは今、天国のような場所にいるのです。
自分の知的好奇心を大いに豊かにさせてください。
その結果、あなたがぜひ大学院に行きたいということであれば、お母さんにとってはこんなに嬉しいことはありません。

毎日のニュースに悲観的になることもあるでしょうが、間違いなくあなたは今一生の中で一番美しく、そして自分の時間がもっとも持てる時期を過ごしています。
どうぞ自分の持てる力を発揮して、いまの毎日を楽しんでください。
また、手紙を書きます。

追記:

2014年4月に娘は、社会人となりました。
この少し前に第二次安倍政権が誕生し、娘の就職活動時期はその前の年に比べて随分と楽なものになっていました。

娘の通ったお嬢さん大学では、比較的裕福なお宅が多く、家事手伝いとなったり、特に目的もなく院に進んだ友人もいたようです。
娘も先輩方に就職活動の厳しさを聞き、いっときは「大学院行こうかなぁ」などと言い出しましたが、何しろふだんからまったく勉強しませんでしたから即却下しました。

事務職というものを経験するために、法律事務所にアルバイトに出たりもしましたが、どうも事務職というものが合わないようで、結局は大手コーヒーチェーンに入りました。
飲食業界はブラックな話が多いし、お休みも取りにくいし、と話しましたが、本人がお客さんに接する仕事が好きだと言い張るので、ま、いいでしょう…と。

私は娘の大学進学に口を出したおかげで、「お母さんが行けって言ったから…今の大学に行った。でも、つまらない」と言われたことから、こいつの将来に口を出すと全部親のせいにしてくるな…と思ったので、就職先については口を出さないことにしました。
ま、自分でよく考えて、考えないなら痛い目にあうのも本人には大事でしょう…と。

確かにお客さんに接するのが好きなようで、1年経った今も毎日仕事が楽しそうで、毎日家に帰っては仕事の話をノンストップで話してきます。
自分で選ばせてよかったな…と思います。

とは言え、ときどき大学の学費ムダだったなぁ…、ああ、あの学費で私が院に行けばよかった…と思います。
そして、娘は「大学は無駄だ、自分の子どもは大学に入れるのは止めよう」と決意しているようです。
大学が無駄なんじゃなくて、あなたが無駄にしたんですけどねぇ。

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コメント

  1. やまだ

    「70社受けたけど、まだ内定は一つもありません。」大学生の内定率が57%。マスコミは可哀想な学生を取り上げ、政府の対策が悪い。企業が採用を絞っている。景気は最悪だ。と、煽ります。私は各社掘り下げの足らない取材にいらだっています。学生を不安にさせパニックを引き起こすだけの報道です。また、不安心理に付け込んだ業者の営業補助になっています。
    確かに今学生さんの就職は困難です。しかし問題は政府が、企業が、雇用が、とマスコミが連呼する単純な問題ではありません。
    (1)大学、学部の新設、増設をすすめすぎた文部行政の失敗。
     若者の数は減っているのに、反対に大学生の数は、1985年は185万人。2010年には288万人と100万人も増えています。猫も杓子も大学進学。AO入試や推薦入試でほぼ無試験で入る子が増えました。そんなに都会で大卒の仕事が正社員であるわけないのです。大学が増えすぎたツケが学生にきているのです。
    (2)学生の都会、大企業志向
    そして、大学生たちが希望するのは都会の大企業や有名企業、人気業界。これらの採用のパイは決まっているから、当然、枠からはみ出る人が大量に出てきます。一方中小企業は採用意欲が旺盛なのです。農林水産業や介護の現場では人出不足です。徳島県などは県をあげて第一次産業助成をしています。3Kを嫌い、自分の実力アップに努力せず「70社受けました。何処も採用してくれません。」と嘆くのは、おかしいのです。
    (3)そもそも学生の質の低下
    「分数の足し算もできない大学生が増えている。」と、大学生の学力の低下をかつて大きく取り上げたマスコミが今度は、そのレベルの学生たちが内定をもらえないと騒ぎ立てるのはそもそも論としておかしい。テレビ局も新聞社も自分達は採用数を抑え、かつ早期に採用活動をしておきながら、です。よくわからん勉強内容の大学へ無試験で入り、だらだらすごしてネット中毒になっている非リア充が厳しい就職試験の面接試験で敗退するのは当たり前なのです。無試験進学+ネット&携帯文化の相乗効果で今学生の質は非常に低下しているのです。

  2. コメントありがとうございました。
    個人的には、誰かのせいにし始めた途端にその人自身の成長は止まってしまうと思います。マスコミ、行政指導、企業、たくさんの理由があるでしょうが、ひとまずおいて自分ができることは何かを考えなくては進まないでしょう。
    私自身は、以前ブログに書きましたが、そもそもわりとアウトローなので、娘にも一人で生きていけるといいな、と漠然と思っています。
    http://yuko.tea-nifty.com/coahching/2008/12/post-1d68.html

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