トイレトレーニングとTOEIC

「TOEICのスコアが上がったのに、全然英語喋れません」という悲鳴のような声は、コーチングのクライアントの方々から、年に数回聞く。

うーん…・と思う。

英語の勉強をコーチングのテーマにするときにかならず言うのは、次の2点。

1.TOEICと英語の実務能力は別ですよ

2.切羽詰まって英語が必要でない時に、英語の能力を伸ばすというのは、かなり忍耐が必要ですよ


2.に関しては、また話が長くなるので、別途どこかに書こうと思う。
TOEICのハイスコアを(とりあえずの)目標に置く人は多い。

英語の学習目標におけるSMARTゴールに設定しやすいからでもあるし、その他にもいくつか理由が挙げられる。

  • わりと頻繁に受験をすることができる。
  • 試験に落ちるということはないし、合否判断ではなく、スコアで結果が出るため、成長が実感しやすい。
  • ビジネス英語に特化している
  • 採用における市場価値の一つの指標として、有効に使える(実際には、使えそうに見える、というのが私の実感だが)
  • 学習教材が手に入りやすい

まぁこんなところだろうか。

一言で言うと、これから英語の勉強を始めようという人に対して、学習範囲もある程度狭まっており、成長速度が細かく表示され、さらには企業からの認知度もあるというのが、良い!ということだと思う。

さて、これからビジネス英語を勉強しようという人は、大半が「そろそろ将来に向けて英語ぐらいできないとまずいから…」という人が多い。将来へのキャリアパスとして、外資系企業も視野に入れたいという人も結構いる。
まぁ、正直、漠然としているし、緊急度も低い。
本来の目標は英語をビジネスシーンで使えるようにする…ということなのだけれど、これがいったん仮置きで、TOEICのハイスコアを取得することをゴール設定すると、途端に本来の目標から外れて、TOEICのスコアを上げることに、全員夢中になってしまうのが、このTOEICの恐ろしい点である。

そして、TOEICの情報を少し集めるとわかるが、ハイスコアを得るにはいくつかコツのようなものがあり、コツを掴むには、何と言ってもTOEICの範囲外の勉強をせず、ひたすら問題集を時、どんな問題が集中的に出されるかを知ることである。
あとは時間的制限がかなり厳しいので、この時間内に回答できるよう訓練することである。

資格試験というのは、基本的にはその分野を体系的に学んでその上で受かるという学習パターンより、徹底的に過去問を繰り返し解いて、出ない範囲を学ばず、出題されることだけ学ぶということが合格への何よりの近道なのだ(英語の試験だけでなく、その他資格試験でも)

そして、これはもうノウハウというよりも、受験者全員が知っているお約束。ちょっと勉強しだすと即そのことがわかる。

そして、そんな近道が目の前にあるときに、本来のゴールは…と言って、回り道して丁寧に勉強ができるほど、人は意志が強くない。ついつい近道して、スコアを上げたくなってしまう。
そして、やってみると、「え?本当?」というぐらい、バーンとスコアは上がる。スコア800を超えると、踊り場に入ることが多いが、そこまでは、だいたいガーッと上がる。そして、だいたい日本企業では、600~750ぐらいでOKというところが多い。

そして、見事、目標スコアを達成した瞬間に気づく。

  • あれ、会議の英語全然聞き取れないけれど?
  • 英字新聞とか、英語のブログとか相変わらず読めないけれど?
  • pleaseとThank youを駆使してなんとか自分の英語も通じるけれど、どうも相手が長文喋るとよくわからない…。
  • 別に英語の文章が読み書きが得意になった感じもしないのは、なぜ?

そう、自分の英語は全然進化していないのである。
ただし、前より英語アレルギー、英語への苦手感は減った気がする。
そう、そうなのである。それだけなのである。

TOEICというのは、子供のトイレトレーニングにおける「おまる」のようなものである。
子供のオムツ外し、いわゆるトイレトレーニングには、「おまる」を使う場合と使わない場合がある。

      オムツ→おまる→トイレ
      オムツ→トイレ

私の育児生活では、「おまる」を買うお金はない/家が狭くて置く場所もない/保育園通いで、基本保育園には「おまる」がないので、トイレトレーニングがややこしくなる…といような理由で、「おまる」は使用しなかった。

でも、「おまる」を使用する育児にはそれなりに理由があって、幼児にとってトイレはちょっと怖いけれど、「おまる」は可愛い。(特に昔になればなるほど、トイレって、暗くて寒い家が多いですから)高さがないので、ずっと座らせておいても安心である。幼児が自分でまたがることができる…など、いろいろメリットもあるらしい。

しかしながら、一番大きいデメリットは、「おまる→トイレ」の移行が、結構難しいケースがあるというこだ。
結局のところ、オムツはずし完了!という状態になるのは、あくまでトイレで排泄できるるようになることだと思うので、おまるで排泄できたというだけでは、目標のゴールは未だ達成されていない。

私はこの話を思い出すたびに「TOEIC→実践英語」ということを考える。

確かに、TOEICもある程度、文法も勉強し、リスニングをし、リーディングするのだが、スコア狙いに入ってしまうと、どれも浅くて、どの分野に置いても実践には耐えられないという面がある。
ビジネス英語ってこんな感じなんだ…というのはつかめるけれど、だからってそれがビジネス英語の本質かというとちょっとずれている。
そうして、みんな、「あー、もっと根本的な勉強しなくちゃダメなんだ…」と戻ってくる。

その時に、「英語」というあまりに範囲の膨大さに驚き、改めて自分は英語の何が一番必要なのか、学びの優先順位を考える。
大半の人は「TOEICは時間の無駄だった」という。
まるっきり無駄だとまでは、個人的には思わないけれど、それはあくまで「おまる」であって、トイレではない。残念だけれど、ゴールはまだ先なので、まぁ、そこにあんまり力を入れないて、燃え尽きないようにしほうが良いと思う。
TOEICはあくまで自分のスキルの参考スコア程度で、たまーに受けてみるのが良いのではないかなと思っている

※ ちなみに外資系では、TOEICのスコアはほとんど採用の質問として聞かれない。企業規模にもよるが、英語が必要な部署なら、その部署のネイティブと英語インタビューが多いから、必要ないのである。ちなみにTOEICを知っているのは日本人と韓国人がほとんどで、欧米人はほとんどその存在すら知らない。

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