外資系でのリモートワーク

新型コロナウィルス感染防止ということで、テレワークを取り入れる企業が随分と増えた。

働き方改革といくら宣言されても、なかなか進まなかったもの切羽詰まればかなりスピードで実現するものだ。

自身の顧問先でもこの機会にリモートワークが取り入れられたし、コーチングのクライアントさんや友人たちの会社でもリモートワークになったという話をたくさん聞いた。
あちこちの導入事例の話を見たり聞いたりして、気になったのが、どうやら日本企業のリモートワークは必ず「監視」がセットになっているという点。

だんだんとは慣れてきてしまったが、「おはようございます。これから仕事始めます」「これから昼休憩取ります」「昼休憩から戻りました」「今日はこれで仕事を終わりにします。お疲れ様でした」というようなのがチャットに入っているのを見て、最初の頃は「なんだこれは!」と驚愕した。

これは、従業員というものは仕事が嫌いで、できるだけサボりたいと思っている。だから見張っていないと仕事しない‥という前提に立っているのだろう。
後は、サボっている人はズルい。不公平だという感覚だろうな‥と思う。
(ここでは詳しく書かないけれど、日本人の言う「不公平」という話と、アメリカ人の言う「フェアネス」というのは随分とニュアンスが違うことについて一度よく考えて書いてみたい‥)

私自身は今から20年近く前に外資系企業に入り、2000年代前半にはコアタイムなしフレックス制で、事前申請も上司の許可も特段必要ないという職場にいたので、その当時から在宅で仕事をする環境は整っていた。

そもそも外資系なので、直属の上司が日本人ではなくも、同じ国にいない・・というの時期もあった。
チームメンバーは国内にいることもあれば、いないこともあった。

外資系というと、競争が激しくて従業員同士で蹴落としあったりするイメージがあるようだが、実際にはそんなことやっている暇がないぐらい忙しい。

自分のターゲットを達成するのに精いっぱいで、相手がどんな仕事ぶりなのかチェックする暇がないのだ。

例えば、私がやっていた仕事である年のゴールは、売上はもちろん、それに追加して日本の自治体と組んでプログラムを広めること、最低5つの自治体との実績を作る‥というようなもの。

まず自治体といってもそれは県単位なのか市町村単位なのかとか全く指示はない。海外と話しているとどうも地方自治体というよりも官公庁でも区役所でもなんでもいいからパブリックセクターとなんかやれ!という話しらしい。

こういうのも入社して数年は、日本企業にいた経験から細かく前提条件を確認していたが、慣れてくるととにかくドンドンなんかやって、これも自治体だと言い張ればいいとわかってきた。
何しろ日本の自治体なんて誰もしらないのだ。

では、どこから当たっていくのか‥なんていうのは、上司は全く指示してくれない。そんなことを尋ねた日には、「なんでそれを俺が考えるのか?俺はおまえの部下か?」と無茶苦茶に怒られる。(実際、そうやって毎回怒られていた)

ということで、なんだかよくわからないが、公共担当の営業に話を聞きに行ったり(これもそもそも同じ社内でも先方も無茶苦茶忙しいので、アポもなかなか取れないし、誰がそういうのに詳しくて親切なのかを知るために喫煙所をウロウロしたり‥とまぁここでも時間がかかる)、拉致があかないので、自分自身のプライベートのツテをたどって話を聞いたりする。そにれは、まぁまずは一杯呑みにでも‥とう話から始まることも当時は多かった。(これがまた結構な時間が取られる)

で、あとは何とかアポを取って地方に行って、的はずれな提案を持って、話を聞いて何が駄目なのかを理解し‥、また改善した提案持っていったり、この手の話は県庁のこのあたりの部門に持っていったほうがいい‥とか徐々に見えてくる‥

なーんてことを日々手探りで自分の仕事を作り上げていると、同じチームの違うミッションのメンバーが何やっているのかなんて、全く見ている暇はないし、興味を持つことすらできない。

週1回のチームミーティングで何となく同僚の仕事を知るぐらいで、そこで自分に関係しそうなことがあれば、別途話すが、それ以外は基本スルーだった。

自宅でサボっていようがいまいが、どうでもいい。
そもそも毎日仕事をしなくてもターゲットを達成していればクビにはならないし、昇給も昇格もあって、サボっていて達成しなければいずれどこかのタイミングでその人はいなくなるだけなのだ。

私の場合は同じミッションの仕事という人がいなかったけれど、同じ商材を売る営業同士とかだったら、むしろサボってもらって、ターゲットにいかない同僚がいてくれるのはむしろ歓迎だ。
自分の貢献度がさらにPRできる。

何しろ、リストラのタイミングでチームの最下位のパフォーマンスしかないメンバーは切られるという暗黙のルール(かなり明示的かも?)があるので、そのためにそういうメンバーを温存しておく上司もいるような世界なのだから。

Aさんはタワーマンションの上層階に住んでいるのに、ありえない音がZoomミーティングで聞こえてきたから、テレワークをいいことに別荘で仕事をしているかもしれない‥というような話が先日も聞こえてきたが、どうでもいいのでは?そんなことも気にしていたら、自分の仕事に集中なんてできないだろう?
お目付け役の手当が出るわけでもないだろうに‥と思ってしまう。

万が一の緊急時の出勤がそれだとできないから、と自宅以外で仕事をするな‥という規定になっている会社は多いのだと思うが、それで万が一に出勤しなかったらクビにすればいいと思う。
就業時間中の飲酒も、同じではないかと思う。

そういうのは本人のモラルとか自制心の話で、職場は人格教育までは面倒見きれない。
マネージャーにはそういう仕事も含まれている‥という発想が日本企業にはあるのかもしれない。
あたかも部下の「親」みたいな存在であるべき…と考えると、部下というのは誰かがついていてあげないと駄目だという半人前の存在だと捉えられているのかもしれない。

日本企業で監視が行われるのは、従業員一人ひとりに明確なミッションとかターゲットがないことと、クビにする制度がないからないんだろうなぁと組織の制度の問題だと思うが、もう一つ部下を一人の大人として見ていない、扱っていない‥という組織文化もあるのかもしれない。
大人として扱わないから、長い時間半人前になってしまうような気もするけれど。

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