育児の天国と地獄

このところ、お母さんビギナーの方たちからお話を聞く機会が多い私です。
そのような機会から、自分の育児についても振り返ることが多くなりました。
今日はそんな話を少し書いてみたいと思います。

妊娠中は子供が無事産まれてさえくれれば…・と、それが一つのゴールのように感じていました。
お腹が大きいというのは、つくづく社会的弱者なのだ、と感じました。
移動が不便で走ることもできやしない。こういうことは普段の日常生活を送っているとなかなか感じられないことです。
私の場合、妊娠当時は、同級生は学校を卒業して就職しているか、もしくは大学に通っているかで私だけどこにも居場所がなく、みんなは20歳という美しい時期を存分に楽しんでいるように見えました。

自分の大きなお腹の姿を恥じ、正直なところ「みじめな気分」というのが一番ぴったりくる表現だったと思います。
…が、娘が無事産まれてくると「頼むからちょっとお腹に戻ってくれないかな」と何度考えたことでしょう。
出産後の入院中はあれほどスヤスヤと眠っていた娘は、退院するや否や真っ赤になって泣きわめき、どんどん手強くなっていきます。

私は実家に里帰りできなかったため、同居していた夫の実家でそんな娘をみているのですが、悪気なく義両親が心配するのも「頼りない母親」として、見られているのではないかと思い、身が縮む思い。
初めての赤ちゃんですから、頼りないのは当たり前なのですが、睡眠不足でそういう冷静な判断ができない状態でした。
24時間対応というのももちろんつらいし、自分の一つ一つの育児がこの子の将来になんだかたくさんの影響を与えそうなのも怖い思いがしました。
抱き癖がどうとか、ミルクのあげ方どうとかで、なんだか一生が決まってしまうかのように考え込んだのを憶えています。

相談したい相手もいなかったし、まだ産まれてすぐで外には出られないし、かと言って、夫にも義両親にも手伝って欲しくない。
手伝ってくれるときの、悪意のない一言に引っかかってしまうことがあまりに多かったのです。
「ちゃんとミルク飲んだか?」とか、そういうことが…

結局、ここから出られたのは離婚への道筋が見えてきたとき。
忙しくなってあまり育児にばかり気が取られなくなったときです。
娘は生後2ヶ月から乳児専門の保育園に通い始めました。
この時から、何でも保育園のベテランの先生方に相談したり、お友達のお母さんに相談できたりして、私の育児は格段に楽しくなりました。
何よりも子供べったりではなく、仕事と育児の二つがあり、合間合間に一人になれる時間もあるというのが大きかったような気がします。一人になれる時間と言っても、通勤中とかそんなものですが、それでも大きかった。

自分の子供は確かに可愛い。
でも、人間は誰でも自分のペースを相手に24時間コントロールされると壊れやすいものだと思います。
育児は一人でやると地獄。二人もしくはそれ以上であれば、そこは天国。子供は天使に変わります。

自分にこんな経験があるので、私はどんなにひどい虐待があったと聞いても、一人で育児や介護に向きあっているケースには、心情として虐待者を攻めることはできずに、ため息を吐きながらニュースを読んでいます。

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    2008.12.06

    時流
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コメント

  1. nolatch

    育児は二人以上でやると天国、まったくそのとおりだと思います。育児休業中ですが、来週から生後約半年の子を預け、復職です。ただ、仕事、育児、はやるとして、合間に一人の時間が取れる気がしません。かなり意識的に、取る工夫をしないといけないのでしょうね。

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