少し前に勝間和代さんの家事の本を立て続けに2冊読んだ。
調理家電を使いこなすことで料理時間を削減しつつも、美味しい栄養バランスのきちんとしたものを自宅で食べる話や、ルンバや乾燥機を使った家事の時間短縮で生産性を上げる話など、きっぱりとした物言いや明確なロジックが面白くあっという間に読み終えた。
各部屋に端末が置いてある話は、亡くなった大正生まれの祖母を思い出させた。
祖母は鎌倉の長谷で自宅を染色教室を開いていた。
亡くなる直前まですこぶる元気で、我が家の親族でもっとも面白い話し手でもあった。
鎌倉の染色教室などというと、何やら古風な感じだが、彼女は私が小さな頃から、しょっちゅう電化製品を買っていた。
電子レンジやミキサーを初めて見たのも、ルームランナーを見たのも、職場以外でFAXを見たのも、多分ここが最初だったと思う。
なかでも圧巻は全ての部屋にあるテレビ。
お茶の炉の切ってある玄関にはさすがになかったが、それ以外の部屋には全てテレビがあった。
各部屋以外にも、脱衣所にも浴槽から見える位置にテレビが置かれ、キッチンにももちろんあった。
祖母曰く、テレビが気になって、他の仕事や家事ができないのは時間の無駄、どこの部屋にもテレビを置けばいい‥とのことだった
生産性向上の鬼のような話だが、対象がテレビというだけでなんかちがうような気も‥と思わなくもない。
(昭和のテレビ番組はそれだけ魅力的で面白かったのかもしれない)
体調を崩して入院したときに、電動ベッドの便利さに気づいたようで、体調的に問題がなくなってからも、高い電動ベッドを購入し、ベッドの背をリモコンで上げたり下げたりしながら、そこでもテレビを見ながら化粧をしたり本を読んだりしていた。
そういえば、ある時期には全ての1日に必要な栄養を混ぜたジュースを作って飲むという実験をしていた。こうすれば何度も台所に立つ必要がないと思ったそうだ。
あまりにまずくて、気持ちでは飲もうと思っていても、手がどうしてもコップを持ち上げることがなくなったそうだ。
「人間の身体って、理屈だけじゃ動かいのねぇ。まさか自分の手に拒否されるなんて…」と愉快そうに笑っていた。
そんな祖母が身近にいたのに、私は20歳以降、原則としてテレビを持たず、土鍋でごはんを炊いていて、洗濯物は外に干している。
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いろいろ理由はあるが、大きい理由は電化製品を選んで買うこと、それから使い方を憶えるのが面倒こと、さらにそのメンテナンスが嫌いなことだ。ようは電化製品そのものが基本的に、私の購買意欲を全くそそらないところなんだと思う。
もう少し付け加えるとするならば、家事の時間を減らして、何かやりたいことがあるか?というのが今となっては特にないものあるだろう。
若いうちならその空いた時間を仕事やスキルアップに充てただろうけれど、今の私はむしろ仕事の時間を減らして、家事をやりたいぐらいだし、子育てしているわけでもない。
もうちょっと本を読みたいな‥と思うところは多いけれど、これは時間の問題よりも年齢とともに気力・体力が落ちてきていることのほうが影響が大きいので時間さえあればできるというものでもないのだ。
(書いていてなんだか哀しくなってきた…。)
という長い前置きがあって…。
そんなだから、我が家の電化製品というのはあまり入れ替わらないし、引っ越しなどがない限り追加もされないのだ。
…が、先日、娘夫婦に招待されて旅行に行ったところ、会員制高級お宿には、Panasonicの上位機種のドライヤーがあって、これがもう髪がさらさらに…。
ドライヤーなんて、髪を乾かすだけだし、そもそもショートカットの時期が多いので、タオルドライのみでドライヤーで乾かしもしない・・ということも多かった私。
そんなだから、我が家のドライヤーはヨドバシカメラで目について買ってきた2,000円ぐらいの安いものを使っていた。
真ん中で畳んでコンパクトになるドライヤーだったのだが、これが畳むつもりもないのに、勝手に畳んでしまうようになったこの頃。
旅先の高級ドライヤーは使い心地抜群だったし、今のものは壊れてきてるし、そもそも2,000円分は使い切ったし、買い換えるかな…という気になった。さすがに数万円というようなものを使うほど、髪にこだわりがないので、1万しない程度のものでAmazonで評価が良かったものを購入した。
新しく届いたドライヤーは、これがもう、あっという間に乾く、熱くなりすぎない、しかもドライヤーそのものが軽くて腕が疲れないし、サラサラになる。
夫も感動している。
これまでのドライヤーではショートでも髪を乾かすのに時間が掛かって、腕もくたびれて面倒くさいので、(美容室でよく言われるが、そもそも私は乾きにくい髪質なのだそうだ)、 何度かに分けて、乾かしていたのだが、いっぺんで済むようになった。
そしてこの瞬間、最新家電って、ストレス減るし、時間も短縮されて、生産性向上に確かにつながる〜と実感。まさに勝間さんの本の通りだった。
でも、浮いた時間で何をするかは相変わらず決まっていない。だから結局、その他の家電はそのまま鎮座することになりそうだ。
目的あっての生産性向上なんだよね、結局…という話し。
生産向上のために、家電を購入するはしばらくないけれど、上機嫌のために家電を購入するは悪くないな・・と思った次第。
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