Book Review: News Diet

この本については、書店でも見かけていたし、よく読んでいるサイトでも紹介されていたので気にはなっていた。
とはいえ、なんとなく内容は想像がつくし、他に積読本が山ほどあるのでそのままにしていた。

なぜこの本を読んだのか?

しばらく前から、ネットのニュースを読むと気持ちが塞ぐことが多くなっていた。児童虐待、お年寄りによる自動車事故、近隣諸国との軋轢、ヘイトニュースなどなど。
ニュースを読むのがキツイな‥と感じていたところに、ロシアによるウクライナ侵攻が起こり、ああ、もう無理だな、これ以上読むと身体の具合悪くなるな‥と確信した。
多くの人が東北の震災映像を見て、体調を崩したという話が震災後しばらくしてから出てきたが、私もその一人だった。

とは言え、芸能人のニュースはともかく、戦争のような歴史的な大きな出来事や社会的問題のニュースを見ないことって、嫌なことから目を逸らすだけで、なんというか人間として無責任ではないだろうか‥という気持ちもあって、この本にヒントを求めた。これが「News Diet」を読み始めた経緯だ。

この本を読んで特に印象的だった点

そのニュースを読んでも自分にはどうすることもできない

悲惨なニュースを見かけて実際に行動を起こせることは少ない。震災のときは、勤務先を通じて寄付金を送った。この勤務先では従業員が出した寄付の総額を会社も寄付するという制度があった。
毎年ふるさと納税では、犬の殺処分ゼロに関する運動へ寄付金を送っている。
しかし、私の出せる金額などは本当にわずかなものだし、全てな悲惨な出来事にお金が寄付できるわけでもない。

同じように思う人はたくさんいるのだろう。
マザーテレサがノーベル平和賞を受賞したときにインタビューで「世界平和のために私たちはどんなことをしたらいいですか?」と尋ねられたときに、「世界平和のために何ができるかですって? 家へ帰って、あなたの家族を愛しなさい」と応えたという話は有名だ。
私たちが影響を与えることができるのは、半径5メートルぐらい。でも半径5メートルの人たちが幸せなら、そこからまた半径は広がっていくだろうし、さらに言えば、半径5メートルも幸せにできないなら、そもそももっと広い範囲に大したこともできない‥と言えるかも知れない。

行動を起こさずに哀れみにだけ浸る行為は非人間的だ。惨事についての情報を入手すると、まるでその惨事に立ち向かっているような気にさせられる。しかし、哀れみのなかにどっぷりつかって、その感情を日々自分自身にすり込んだところで、なんの助けになるというのだろう?なんの助けにもならない。私は同情しているだけの人に興味はない。感情移入は──単なる感情移入だけで終わるのなら──無意味だ。
ロルフ・ドベリ. News Diet (Japanese Edition) (Kindle の位置No.3260-3264). Kindle 版.

でも、そうは言っても悲しいニュースを見たあとに、何もしないでいるというのを、私たちはひどく居心地が悪く感じる。
そのため、そういった記事や人々を応援する意味で、「いいね」をクリックしたり、リツィートしたり、はたまた記事をシェアしたりする。この行為は決して悪いとは言えないけれど、これで自分がなんだか「やるべきことはやった」「できることはした」みたいになってしまうのは何か違うはずだ。

この本を読んで、本当そんな自己満足のためだけにマウスを動かしているなら、半径5メートルをなんとかしよう・・・という気になった。

タイムリーにニュースを読むことが、自分の生活には全く重要ではない

ニュースの消費に一万時間も費やしたあとで、私ははじめて自分自身にこんなふたつの質問を投げかけた。「ニュースのおかげで、私は世界をもっとよく理解できるようになっただろうか?よい決断ができるようになっただろうか?」。答えはどちらもノーだった

News Diet (Japanese Edition) (Kindle の位置No.415-417). Kindle 版.

著者はもともと随分とニュースをたくさん読む人だったようだが、現在はそのほとんど止め、その分もっとその背景や歴史的経緯などがきちんと書かれているジャーナルや本を読む時間にあてており、それを読者にも進めている。
確かに短文のニュースでは、ほとんどそのあたりの情報は入ってこない。

あなたにとっての重要事項を、メディアから見た重要事項と混同してはならない。メディアにとっては、読者の注意を引くものはすべて重要なのだ。
News Diet (Japanese Edition) (Kindle の位置No.724-726). Kindle 版.

自分が特定の事件に関わっているとき以外、私たちが速報的なニュースを必要とすることはない。どこかの放火事件で死亡者が何人になろうが、海外の山火事は鎮火したのか、運転ミスによる交通事故を引き起こした高齢者はどのような状況だったのか、韓国の大統領選候補にはどんな人が出ていて、誰がリードしているのか?
どれも私の人生に全く関係ないし、その事件や状況に何かできることもない。
もし、私の人生で韓国の大統領選挙や政治について関わることがあったとしても、その場合はきちんと知識人が書いたと思わる本や文献を読むはずだ。それはリアルタイムに起こっていることを得るのは難しいが、なぜそういう状況になっているかを解き明かすヒントをくれるだろう。
振り返ってみると、どうでもいいニュースは短文でリアルタイムで読んでいる、あれ?そんなこと何のために?となる。

短いニュースを次々に消費するのは、矢継ぎばやに新たな旅に出つづけるようなものでもある。セネカはこうも述べている。「四六時中、旅に出かけている人には、知り合いはたくさんできるが友人はできない」。

ロルフ・ドベリ. News Diet (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2112-2114). Kindle 版.

読了後のニュースとの付き合い

ネットニュース

ニュースアプリのようなものは使ったことがないが、なんとなくでYahooニュースをちょくちょく眺めていた。
本末転倒な話だけれど、SNSをアプリをスマホから削除したら暇つぶしがなくなり、疲れているときに限ってなぜかKindleを開かず、短文のニュースを読むのはそれこそ自分に関係ないから疲れないからなんだと思う。
あと、コメントが無茶苦茶なのも疲れているときには面白い。
この本を読んでからは、ブラウザのBlackListに追加して全く読んでいない‥が、困ったことは一つもない。

RSS

feedlyというRSSリーダーを以前から利用している。有料版はしばらく前に止めたけれど、無料版は現在でも使用中。
主なカテゴリーは仕事に関連するIT業界からみのフィード、ビジネス系ニュースのフィード、出版社系のフィード、デザイン系のフィード、友人・知人たちのブログ記事のフィード、それから料理関係。

以前はザーッと眺めてあとから読むものを取っておいたが、その場で読めなかったら、今は削除するようにしている。読む記事は多くて7本ぐらいかな。自分に直接関係ない記事は、少し興味があっても削除するようになった。タイトルだけ見て、引っかかるようだったらそのうちその内容を扱った本でも読もうと思っている。

新聞購読

紙の日経新聞を購読している。
著者に言わせるとネットニュースよりはマシだが、これも止めろ‥リストにおそらく入るだろう。
私の場合、新聞についてはリアルタイムにニュースを知りたいから読むわけではないのと、日々関わることはないので自然には知識として入ってこないけれど、入ってくることで、物の見方が変わったり知見が増えたりということがあるので、ここは継続。

半径5メートル以外は放置‥という考え方に反するだろうが、本を読んでいる中で、新聞の知識からその背景を知り、より深く本が読めるというケースも多いので、ここに関しては今のところ変更予定なし。ただ、毎日配達してもらう必要はあるかな?とは少し思う。

SNS

Instagram

基本的には、このブログに載せるための写真を投稿していることが多い。Wordpressに直接写真を置くと重たくなっていくので、Instagramにリンクしておけばいいのでは?と思い、そのようにしている。でも、それがどのぐらいWordpressのパフォーマンスに影響しているかはよくわからない。

紙の本を読みきったときは、なんとなくその本の写真をアップしている。たまたまやってみたら、同じ本を読んだ人たちが「いいね」をしてくれることがわかり、その人たちのアカウントを見ると趣味の近い人がどんな本を読んでいるかが見えてくるのが楽しい。
特にノンフィクションよりも小説のほうが、私の場合年齢とともにどんどん保守的になり新しい作家にチャレンジできないので、チャレンジのきっかけになることが多い。

Facebookに投稿しないのもな‥と思い、全部ではないが時々Instagramの投稿をFacebookにシェアしている

Facebook

Facebookを確認するのは友人の誕生日があるとき。
誕生日は毎月1回翌月のものをFacebook上でチェックしておき、Doit.imというタスク管理ツールの登録しておき、当日にメッセージを送り、あれこれ他の友人の近況を確認して、「いいね」を押したり、コメントしたり。

Facebookの投稿は以前はわりとこまめにしていた。Facebookで気に入っていたのは、1年前とか数年前はこんなことを投稿していたというのが知らされる機能。
あれから、もう3年も経ったんだ〜とか、見るのが好き。友人は自分だけに公開する投稿で誰にも投稿を見せずに、そういったアルバム使いをしていると教えてくれて、頭がいいなぁ‥と感心した。
ただ、私自身が公開と非公開をちょくちょく切り替えるというのは、面倒で無理そう。

そんなときに、祖父の古い日記が出てきた。祖父は5年日記みたいなのをつけていたようだ(そのどれもが中途半端なのだが‥)
これがあればFacebookと同じ機能になるな‥と思い立ち、ちょうどデザイン的にも気に入ったものがAmazonにあったので、2月末から5年日記を私もつけるようになったので、ますますFacebook投稿が減り、上記に書いたようにInstagramからシェアすることが多くなった。

Twitter

既にInstagramもFacebookもアプリはスマートフォンから消しているが、唯一残っているのがTwitter。
これは主に検索で使っているから。

以前はフォローもたくさん入れていたのだが、タイムラインがぐちゃぐちゃになってかえって読まなくなるので、最近はリストに振り分けて時間のあるときに読んでいる。

仕事でデジタルマーケティングに関わっていたときは、Twitterトレンドなどもそれなりにマメにみていた。クライアントの投稿を作るときにヒントになることも多いし、どのあたりが炎上になるかも知識としてある程度必要だったので、現在はNewsDietと同じ理由で見ていない。

ネットで読んだ記事の備忘録として投稿することは多い。いいね、リツィートは低くなった。

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    2008.11.02

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