2019年:読んだ本 ベスト5

【2019年読書概況】

2019年の読書について振り返ると、個々の本そのものは良いものが多かったのですが、全体になんというか小粒で、これ!と言うようなものが少なかった印象です。例年の平均が3.0だとすると、今年の平均値は★3.3ぐらいありそうですが、★5という本が少なかった。

今年は読書記録が取れず(後述)正確な読了数が全くわからないのですが、昨年2018年が156冊、多分今年はもっと多かったような気がします。
原因としては、Kindleで軽めの小説を読み散らかすというのにハマったためです。漫画よりは圧倒的に長い時間読め楽しめるのは素晴らしいのですが、どうもこの手の小説はストーリーを追うだけになってしまうことが多いため、一文一文を味わうということがほとんどなく、あたかも早食いのように消化してしまいがちでした。

振り返ってみると、今年の後半にビジネス書ばかり読んでいたのは、失敗でした。
楠木先生の講演会が非常に面白かったので、楠木先生の監訳されている本や推薦されている本などをかなり読みました。ここからまた関連本がKindleで表示され‥という形できりがなかった…。

講演会:すべては『好き嫌い』から始まる 楠木建

どの本も非常に面白いし、良い本だと思いましたが、ビジネス書というのは、成功本と同じである程度冊数を読むと、そこから先はいくら読んでも得るものはほとんどないし、ましてや自分の視野を広げたり、成長につながるものはないように個人的には思っています。
それに普段、仕事をしていく上で、どうしてもビジネスについてばかり、毎日考えていますから、そこからさらに読書までそちらに流れると、ただでさえ、独りでいるのが好きな私は、ますます偏った人になりそうです。

外に出たがらない、旅行も好きではない私にとって、読書は自分の世界を広げる唯一の旅のようなものですから、ここは意識的に変えていかないと。
人生の後半戦にビジネス書を読むなんて、本当、もったいないと自分でもしみじみ思います。
とは言え、ビジネス書って基本的に読みやすいからKindleでスキマ時間にいくらでも読めてしまうし、すぐに役立つ内容もやっぱり多いので、ついつい誘惑されますね。
すぐに役立つ内容というのは、すぐに陳腐化するとはわかっているのですが…。

逆に気がつくと随分、読まなくなってしまったのが、海外のフィクション。
こちらはやっぱり物語に入るのと、読み切るのに結構エネルギーが必要で、遠ざかっていましたが、当たり前ですが違う国の人が書いている、違う文化、歴史、生い立ち、常識、価値観みたいなものに、触れるというのは、「旅」という意味では、本当に大きな出会いがある気がします。
来年はこのあたり、少し意識的に増やしたい。

【2019年に読んだ本ベスト5】

今年読んだ本の中で、良かったもの5冊は以下のとおりです。2019年に出版されたものとは限りませんのでご注意ください。
今年は順位がつかなかったので、50音順でならべてあります。

「その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く―― 」 森川すいめい著/青土社

以前にどこかで書評を読んで、気になっていた本でした。
ある日、東京堂書店の本店でめぐり逢い、運命を感じてお買い上げ(運命の本が多過ぎるという批判が多いのは承知しております)。
自殺希少地域と呼ばれる場所に精神科医が訪れ、その地域が他の地域とどう違うのかというのを見ていく、感じ取っていくノンフィクションです。人との距離感、多様性とは何か、と考えさせられることが多くありました。

自殺を減少させるためには、「防止」と「予防」を分けて考えるのが大切です。
「防止」というのは、駅のホームに扉をつけて線路への飛び込みを減らすことや、高い建物の屋上に何メートルもあるフェンスをつけて飛び降りを減らすとかそういった策の話です。
一方で、「予防」というのは、かなり広範囲で考える問題であることは想像に難くありません。
自殺希少地域では、その予防になる何かがありそうだ‥というのが、いくつかの地域を見ていくことで著者と一緒に、その「何か」を考えていく、感じていく本でした。

こういった地域の長年に渡る空気感や人と人との距離感的なものを構築しようと思っても、何から手を着けるか全くわからず、即座に挫折しそうですが、個人対個人としてであれば、もっと自分一人から始められることが多い気もしてきました。

自殺で亡くなる人の少ない地域のひとは相対的に自分の考えをもっている。自分の考えがあるゆえに他人の考えを尊重する。ひとは自分の考えをもつと知っている。
違う意見を話せる。だから人間の側やグループにつくのではなく、どの意見かによって誰と一緒になるかが決まる。ゆえに派閥がない

「庭とエスキース」 奥山 淳志著/みすず書房

この本のことを思い浮かべると、それだけで胸の中に温かいものが生まれてきます。
内容もとても地味だけれど存在そのものが優しい本でした。書棚にずっと置いておきたい1冊です。

この本については、以下に記事を書いています。

「庭とエスキース」&「弁造さんのエスキース展」

「春にして君を離れ」アガサ・クリスティ著/早川書房

この本を読んだきっかけは、愛読しているブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」の以下の2本の記事からです。

自分を疑う深い穴「春にして君を離れ」

読書会で毒を吐く『春にして君を離れ』

ミステリーの女王と呼ばれたアガサ・クリスティの作品ですが、事件は起こらず、誰も死なない、でもすごく恐い。
あれ、これってひょっとして私のこと?と背中がひんやりしてくる。
そして最後の最後でやっぱり私かも、そしてそのままその恐怖の中に取り残され読了。

とても地味な話なのに、自分のこれまでの自分の生き方を大きく揺さぶられるような衝撃があり、ここで感じた背中のゾクゾク感は自分がこれから同じような場面に佇んだときに、この作品を思い出しまた戻ってくるように思います。

読後感の決して良い本ではないのですが、怖いもの見たさに何度も読んでしまいそうな気がします。

「プリズン・ブック・クラブ–コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年 」 アン ウォームズリー著/紀伊國屋書店

刑務所で行われた読書会についてのノンフィクション。自分の気持を正確にわかり易く他人に対して話すというのは、実際やってみるととても難しくて、語られた側も共感する思いがあっても、それを伝えるのがまた非常に難しい。そういう場面は人生の中で往々にしてあることだと思います。
特に犯罪を犯した受刑者の人たちというのは、犯罪に至るまでの過程や幼い頃からの生育環境も辛いものが多く、そのときに感じた気持ちを語るというのは、まず、語り始めること自体が非常に難しいものだと思います。
その媒介に「本」が入ることで、自分の言いたいことを伝えることや相手の気持ちを理解することが、ストンと腹落ちするようなことが、深い共感を伝えあうことができるということが見えてきました。
ここから「サードプレイス〜一緒に本を読む会〜」へと、つながっていきました。

この本についての記事はこちらに

読書会のきっかけと「プリズン・ブック・クラブ」

もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓」 稲垣えみ子著/マガジンハウス

電気を使わない暮らしとアフロヘアで有名な稲垣えみ子さんの食事の本。
この本を読んで、今年は干し野菜が常にベランダにある…という生活に切り替りました。
糠漬けは、この本を読むまでは主にご飯のおかず、酒のあて、お茶漬けに刻んでいれる‥という存在でしたが、この本を読んでからは、
・炒飯や炒め物の具材の一つ
・サラダの材料に一つ
・刻んでオリーブオイルをかけて、日本酒だけでなくワインのあてにも
と、これまで以上に重宝されるようになりました。

糠漬けと干し野菜をすると、ほとんど野菜って無駄にすることなく美味しいうちに食べ切れるというのが嬉しい。
野菜は干すと、水分がぬけて、味が凝縮されてビックリするほど美味しくなります。しかも、お陽さまが無料でやってくれるのですから、やらない手はありません。

料理というものに私達は、力を入れすぎ、振り回されすぎ、なんじゃないかな‥という話は、賛同される人は多いのではないかと思います。
私もご飯+汁物+漬物で基本満足で、これにたまに魚か野菜の小鉢的なものがあれば、十分だと思うし、ご馳走は食べるだけだとしても疲れます。

先日、流れてきたTweetに、これきっと稲垣えみ子さんのことなんだろうなぁ…というのがあった。

ミニマリスト流行りのときに、いろんなミニマリストの人が自宅に冷蔵庫を置かなくてもすぐにコンビニがあるし、そういうのを利用すればいい‥不必要に在庫を持つ必要性はない…というようなコメントを読んだ気がします。
このTwitterの方もそういうのを想定されているのだと思うのだけれど、稲垣えみ子さんのこの本を読むと、そういう話じゃないんだけどな‥。「読まないでもわかる」って思ってイメージで堂々とつぶやいているのじゃないかな〜。

こちらの本は、簡素なご飯で十分美味しいし、お金もかからず、手間もかからない、そんなに料理に縛られるなくていいんじゃない?私達の暮らしって・・・・という話の合間に、レシピ的なものが時々差し込まれているという感じの本ですが、下の「レシピがいらない! アフロえみ子の四季の食卓 」、具体的にどんなものを食べているの?というのが、写真と調理法(←レシピというにはあまりに…)が出ていて、ご興味ある方はぜひこちらも。
日本酒の趣味とかも似ているので、根本的に食事の嗜好がこの方とは似ているかも。

【読書記録について】

途中までブクログで記録していたのですが、引用登録の文字数に制限があり、さらには登録した引用文も公開できないというのがありまして、仕方なくEvernoteにそのあたりは記録していました。

さらに途中からHTMLへの吐き出し機能がなくなり、使う意味が本当になくなってしまい、自然足が遠のきました。
Excelで購入・読了履歴を管理していたのですが、漫画・軽めの小説の大量読み散らかし、図書館から突然予約の本が回ってくる・・などで、非常に面倒になり、こちらも挫折。

引用文については、Evernoteを活用。読み終えた本の冊数については、、フランクリン・プランナーにその都度書いていくのが一番現実的な気がしてきました。アナログだなぁ…。

【過去の本のベスト5の記事はこちら】

2018年:読んだ本 ベスト5

2017年:読んだ本 ベスト5

2016 年:読んだ本 ベスト5

2014年: 読んだ本 ベスト5

2013年:読んだ本 ベスト5

2010年:読んだ本 ベスト5

2009年:読んだ本 ベスト5

2008年:読んだ本 フィクション ベスト10 及び ノンフィクション ベスト5

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