読書会のきっかけと「プリズン・ブック・クラブ」

昨年、ひょんなきっかけで読書会のファシリテーターという仕事を引き受けた。参加者はある大企業の役職停年になった方たちだ。
役職停年になった途端に、モチベーションが下がってしまう社員をどうするか?というのは、大企業特有の悩みのようだ。
以前聴きに行った若宮正子さんの講演会でも、年齢を重ねても元気な人ということで若宮さんに会社に来てお話をしてくれと依頼されることが多い‥という話が出ていた。

所感「人生に「もう遅い」はない~世界で最も有名な83歳のプログラマー~」

役職停年者達ご自身が自分の人生を暗いものに感じるというのは、もちろん問題だが、それだけでなく、それを見ている若手達も自分たちもいずれは同じ運命をたどるのか‥とモチベーションが下がってしまう‥というのも大問題のようだ。

私がファシリテーターを勤めた会では、読書会そのものというよりも同じような立場の人たちが社内にはいて、同じようになにかモヤモヤしているということがわかった点もようだ。
また、徐々に社内で意見やアドバイスを求められることが減り、家庭も気がつけば子供も大きくなり会話が減っていた‥本という媒介を通じて自分が感じていることを話す場が久しぶりにあったというのもとても良かったようだ。
そういった場を単なる同期の飲み会という形でやることもできるだろうが、それだと愚痴の大会に終わってしまう。
本という媒介があることで、愚痴では終わらずに済み、相手はこんなことに興味ある人なのか?と、職場では見えなかったものが見えたというの良いようで、現在も続いている。私自身は引き続き3回に1回ぐらい顔を出すようにしているが、どんどんと参加者が元気になってきている空気を体感していて、やってみて本当に心に残る仕事だった。

本を読むのは好きでも、誰かと本を読むというのは興味を持ったことがなく、読書会というものの存在は知っていても、自分が参加しようと思ったこともなかった。
このファシリテータをつとめて、読書会って面白いかも‥と思うようになった。

そして、そんなときに出会った本が「プリズン・ブック・クラブ–コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年」だ。

ジャーナリストの著者が友人に誘われて、刑務所で行う読書会の運営に携わるというノンフィクションであるこの本は、本を読むことで深くものごとを考えるようになっていく囚人たちと、本という媒介をおくことで共通事項のなかった人たちが深く触れ合うようになっていく過程が丹念に綴られている。
それぞれの生い立ちで、1冊の本のものの見方や登場人物の捉え方がこんなに変わってくるのか‥という驚きもある。
私と同じ本を読んだ人は、私とまったく違う部分に惹かれているのかもしれないし、まったく違う理解をしているのかも‥と、この本に気付かされ、俄然読書会なるものをやってみたくなった。

やってみようかな?と思ったときに、一人で運営を全部するのは手が回らない‥同じような本に興味をもっている人‥と、パッとひらめいたのが、Tomokoさんだ。
Tomokoさんとは、佐藤優先生の早朝講座でもご一緒し、教養分野の本に関しては興味が似通っていることがよくわかった。一方でフィクションの部分は、全く読んでいるジャンルが違うというのもいい。
お仕事でもご一緒させていただいく機会もあって、私のヌケモレを厳しくチェックしていただけることもわかっている。
ということで、お話してみたらあふれるように色んなアイデアが浮かんできて、ではやってみよう!ということになった。

そして、5月末に実際に開催することになった次第。
初回は、参加者の方々と課題の本を読んで感じたことなどをみんなで話せればいいなと思っている。
その後は、それぞれのオススメの本、大好きな本を紹介してもらう場を設けたりもきっと楽しいだろう。

本を読むのがそれほど好きじゃないという方の参加もすごくいいと思う。
Tomokoさんと話し合って、「安心・安全・ポジティブな場」にしようというのは、会の大きな原則だ。
ようはそこでは、好きなことを語りそれに対して批判はなし、安心して好きなことが話せる場にしようということだ。
残念なことに、案外と私達は日常生活でそういう場を持っていないような気がする。
堅苦しくなく、ここにきたら日常の煩わしさから離れて、利害関係のない人と本を読んで思ったことを楽しく話せるそんな場にしていきたいと思っている。

第一回読書会 申込受付開始

(注)「プリズン・ブック・クラブ」は取り上げられている本もどれも興味深く、そちらもたまらなく読みたくなってくるという危険性もはらんでいるので、本好きな方は要注意ですぞ!

会話といえば犯罪自慢ばかりの刑務所の世界から、読書会はいっときなりとも逃避させてくれる

読書会でこれまで読んだ本で、どれがいちばん好きだったかを訊ねてみた。「どれが好きっていうのではなくて、本を一冊読むたびに、自分のなかの窓が開く感じなんだな。どの物語にも、それぞれきびしい状況が描かれてるから、それを読むと自分の人生が細かいところまではっきり見えてくる。そんなふうに、これまで読んだ読ん全部がいまの自分を作ってくれたし、人生のみかたも教えてくれたんだ」。

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