2018年:読んだ本 ベスト5

【2018年読書概況】

2018年12月30日現在、登録読了数は156冊。再読は含まず。
さらに登録が面倒で漫画がきちんと含まれていない。含まれていてもKindleまとめ買いだと複数冊買っても1冊カウントされてしまうので、おそらくそ漫画も含めると200冊超えているぐらいだと思います。

2017年の登録読了数が110冊なので、今年は比較すると増えているようですが、読書ペースが上がった実感はあまり実感なく、例年通りという印象。
昨年までは、全てMediaMarkerでの管理だったので(後述)、購入金額も確認できたのですが、今年はそれができず、2018年10月までの金額では、155,448円となりました。

読書における変化は、2018年4月から京都造形芸術大学の通信教育部学生になったことで、デザインやらアートの本やらをよく読むようになりました。
このあたりの本は、おそらくそう売れる本でもないのと変型版が多いせいか結構な出費になった気がします。
とは言え、読みたいジャンルが確実に広がったので、これはこれは嬉しいことです。

【2018年に読んだ本ベスト5】

毎年のことですが、2018年に出版された本とは限りませんので、ご注意ください。
2018年は、小説もあれこれ読めて、満足度が高かったです。
フィクションも入れたかったのですが、それだけでベスト10になってしまいそうだったのと、やはり面白い小説はたくさん書評も出ていますので、私が取り上げなくても‥と、あえて小説はすべてカットしました。

以下は、フィクション以外の本のベスト5となります。

5位 「かなわない」 植本一子著/タバブックス

 

写真家・植本一子さんが、夫であるラッパーのECD(石田義則)さんと2人の娘との生活を綴った日記をまとめたもの。
同じように若くして結婚して、経済的にも結構大変で、そして母親になりきれない当時の自分をものすごい勢いで思い出す羽目になり、共感しつつも、かなり地雷が多くきつかったのですが、文体の魅力と怖いもの見たさで、この後の連作も結局全部読んでしまいました。
個人的に残念だと感じたのは、この後の作品は、著者の文章がうまくなってしまい、徐々にナイフのような鋭さがなくなり、洗練されたまとまりのあるものになってしまったことかな。
随所に出てくる著者の撮った家族の写真が昭和っぽくて、また何とも言えず好き。

あんなに大きな音をさせてドアを何度も蹴ったりして、あんなに大声を出して娘が泣いていて、誰か児童相談所に電話しないかな。心配、というより、どうぞ通報してください、と思った。誰か今すぐ訪ねてきてください。「大きな音がしましたけど、お子さん泣いているみたいですけど、大丈夫ですか?」って聞いてください。誰か私を怒ってください。余裕がなくなるとすぐに子どもに当たってしまう、こんな私を怒ってください。助けてください。 (P87)

4位 「70歳の日記」 メイ・サートン著/みすず書房

 

「独り居の日記」を読んで以来、著者であるメイ・サートンのファンだ。
久しぶりに彼女の本を読んで、70代になっても自分に正直で真摯で素敵な人だったことにホッとした。
良くも悪くも人の性格や感じ方って、年齢を重ねてもそう大きくは変わらないのではないのかな‥と、最近思うことが多い。

この人の創作した作品は全く読んでおらず、ひたすら日記ばかりを読んでいる。
結構な高値のものもあったが、今年はこの人の日記をUsed Amazonなどを使って結局全部入手した。
独りでいるって本当に愉しくて居心地いいんですよねぇ‥といつも語りかけるように共感しながら読んでいる。

そんな慈悲あふれる人といっしょにいたのに、なぜ朝からこんなに疲れているのだろう?それは内なる精神生活が完全にストップしているから。ものを書き、考え、庭仕事に打ち込む、あのひとり居中毒患者は、今のところ姿を消している。なんとも寂しい。
でも今日の午後、家の裏の雑草取りをすれば、また”彼女”に会えるだろう。そして、ほぼ雑草に埋め尽くされた多年草の花壇をきれいにしながら、感覚を研ぎ澄まし、精神の落ち着きを取り戻そう。 (P122)

3位 「老子」 老子著/岩波文庫

 

以下のブログ記事の中でこの本を読んだ経緯は書きましたので、ここでは詳細は割愛。

上善如水

何度か読んでいる本なので、本来年間のベストには挙げない本なのですが、今回の読書で初めてわかった部分も多く、深く読んだ気がしてその後のモノの見方をだいぶ変化させてくれたので、挙げておきます。

西洋哲学よりも東洋哲学のほうがずっと好きで、いつかまとめて読みたいなぁ‥と長いこと思っていますが、まとまった時間なんて取れる頃には、本を読む気力も体力もなくなっていそうなので、少しずつ読み始めようかと思っています。
そういう意味でもいいきっかけになった読書でした。

2位 「起業の科学 スタートアップサイエンス」 田所 雅之著/日経BP社

起業の科学 スタートアップサイエンス

 

今年のビジネス書の圧倒的No.1 でした。
私がベンチャー・キャピタリストだったときにこの本が出版されたいたら‥・と何度も思いました。
この本を読むだけで起業に成功するとは限らない。
でも、読んで実践すれば、典型的な失敗する確率をかなり下げてくれる示唆に富んだ本です。

長年、「プロダクト・アウト」ではなく、「マーケット・イン」で‥と、あちこちの顧問先ベンチャーで話してきましたが、私の説明が悪いのかどうもピンときてもらず。
今では、「この本を読んでみてください…」と渡せば済むようになりました。
まぁ、Appleぐらいすごければ、「プロダクト・アウト」って言うのも、もちろん有りだと思うのですが…。
嘘の(or自分たちに都合のいい)課題を土台とした、新規サービスとか新商品とかって、まぁ成功しないですね。
大体途中で本人たちも、途中で気づき、「これ無理じゃね‥」みたいにモチベーション落としますし。

起業を志す人、スタートアップのベンチャー企業はもちろん、新規ビジネスの立上げを考える人にもお薦め。
誰に薦めても感謝されたすごい本です。

1位 「死すべき定め――死にゆく人に何ができるか」
アトゥール・ガワンデ著/みすず書房

 

外科医で且つライターでもある著者が、医療現場で捉える「死」と人間が死ぬということについて、丹念な取材による様々なエピソードを織り交ぜて書かれた本。
一見重たげなハードカバーではあり、扱うテーマも重たいものはあるが、決して読みにくくないのがすごい。

医療従事者にとって、患者の死は、敗北を感じさせる。これが終末期医療を延命に向かわせ、延命することで本来しておきたかったことができなくなるエピソードなど、考えさせられるものが非常に多い。
「死」を考えるということは、「生き方」を考えることなのだ‥と強く感じる本でした。

わずかな間だけでも高齢者や終末期の患者と一緒に過ごせば、援助すべき相手に対して医学がどれだけ失敗を犯しているかわかるだろう命が尽きていく日々は治療によって乗っ取られてしまう。脳は混濁させられ、何かを得られたかもしれないごくわずかなチャンスも吸い取られてしまう。施設の中で人は死ぬまでの日々を過ごす。ナーシング・ホームやICUの中で。人の顔が見えないルーチン化された治療手順によって人生において大切なものすべてから引き離される。老化と死という経験を率直に検討することを躊躇することで、私たちは患者の苦悩を増し、患者がもっとも求めている基本的な癒やしを与えないようにしている。 (P10)

 

【MediaMarkerとブクログ】

今年のショックな出来事は、MediaMarkerが2019年1月20日に閉鎖することが決まったことです。
2007年11月から使い始め、2770冊を登録していました。
CSVで一応データは吐き出したものの、引用登録は吐き出せないようでした。

そのため、読書記録管理は、ブクログに移行しましたが、MediaMarkerで吐き出した過去のデータを移動させるほど、自分の読書記録にこだわるエネルギーがなく、現在に至ります。
ブクログの残念なのは、登録した引用文が他者に見せられないこと。著作権保護のからみのようです。公開できないのに1回の登録に250文字以内という制限があるのはなぜだろう?という疑問が残ります。(単に自分の備忘録としてしか使用できないのに、文字数制限って必要なのかしら?)

一方で、ブクログの良い点は、毎月の読書のまとめをHTMLで出せること。
おかげで、2018年10月からまとめ記事を公開するようになりました。

2018年10月の読書記録
2018年11月の読書記録
2018年12月の読書記録

【さいごに】

こうしてトップ5を眺めてみると、図書館でまずは読んで良かったのであとから書籍で購入したという本が多かったです。
やっぱり大事な本は電子書籍ではなく、紙で買っているなぁ‥というのもよくわかります。
電子書籍は本の全体構成が頭に入りにくいから。

とは言え、老眼も年々ひどくなりますと電子書籍の文字の大きさ変更はとても有り難いので、電子書籍を読む時間は増えることはあっても減ることはなさそうです。
小説は何度も読みたいものが多いし、構成を頭に入れる必要がさほどないのと、場所を取らないので電子書籍がほとんどです。
娘や母と本を共有できないのが、少し残念な気はしていますが…。
Prime Readingのおかげで、普段だったら手が出ない作家の方の小説に手を伸ばす気になるのも有り難いです。

こうして書いてみて思ったのですが、ノンフィクションは知らない作家さんの本もガンガン手を出すのに、なぜか小説に関しては保守的なところが私にはあるようです。
ベストセラーなら間違いない‥と思って手を出しますが、それ以外は基本的に馴染みの深い作家の本ばかり繰り返し読んでいます。

2019年に特にこのジャンルの本を読みたい!もっとたくさん本を読みたい!みたいな野望や目標はないのですが、もう少し本の感想をブログなどに書いていきたいな‥とは思っています。
(来年も同じことを書いていそうな気がしますが‥)

【過去の類似記事はこちら】

2017年:読んだ本 ベスト5
2016年:読んだ本 ベスト5
2015年:読んだ本 ベスト5
2014年:読んだ本 ベスト5
2013年:読んだ本 ベスト5
2010年:読んだ本 ベスト5
2009年:読んだ本 ベスト5
2008年:読んだ本 フィクション ベスト10 及び ノンフィクション ベスト5

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    2007.07.03

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