ネットバンキングと日本の労働生産性

ネットバンキングからあちこちに振り込みをした。
この日の振り込みは少し大きな額を動かすことが多かったので、1日のうちにネットバンキングから振り込みができる上限金額は事前に確認済み。

3件ほど振込が完了した段階で、見たことのない画面が表れた。
振込を行うためのワンタイム・パスワードを登録してあるメールアドレスにメールで送りました‥というような内容が書かれてる。
今までこのような画面は見たことがありません。

今までの振込は、自分自身の別の銀行口座に送金することが多かったのに対し、この日は新規登録の振込先ばかりだったから?
振り込み詐欺の問題がなかなか減らないので、きっと銀行側でこういうシステムを用意したのだろうなぁと推測。

なかなかメールがこないな‥と思っていたら、携帯電話が鳴りだし、出てみたら、件の銀行のオペレーターからだった。
「今日は新規の振込先が多いようだけれど、何かあったのでしょうか?」という確認の電話。
本人確認がきちんと取れればよいようで、すぐに終わったけれど、先方は大変恐縮していて、また振込が急に続くとこういう電話がいくことがある、大変申し訳ないがその際にはご協力をお願いしたい‥と。

この後、メールも無事に届き、問題なく振り込みを済ませて私の用事は無事片付いたのだが、なんだかこの件が妙に引っかかる。

銀行のディスペンサーでは、最近年配のベテランぽい人が立っていることが多く、ディスペンサーの操作方法や困っている人を見つけては助けてくれる。
おそらくこの人達の仕事は、それだけでなく振り込み詐欺を防ぐことも含まれているのだろう。
銀行は大金を動かすにはディスペンサーだけでは駄目で、窓口に行く必要があり、窓口で尋ねてもよくわからない理由がある人は別室に移動させられてもう少し詳しく‥と言われているのを見たこともある。年配の女性だった。

その他に還付金詐欺にあわないように注意のポスターが貼ってあったりと、被害が出ないようにといろんな工夫をしている。

しかしねぇ‥と思うのだ。
電話まで掛けてくるということは、ネットバンキングの送金システムからおそらく何かしらのアラートが出て、電話を掛けて本人確認するという仕組みになっているのだろう。
このために、電話をする人を用意する‥というのは、そこまで銀行がすることなんだろうか?と違和感を覚える。

ざっと考えても

・振り込みがX件以上、XXXXXXX円以上、新規の振り込みがある‥など諸条件を組み合わせてアラートを送るようにシステム変更をする
・お客様への電話連絡がきちんとできる人材を用意する
(多分、これ結構大変ではないかと、なんで自分のお金動かすのにいちいち電話が‥と思う人もいるだろう)
・個人情報とその人のプライベートな行動に思いっきり触れるので、ある程度信頼のある人材でないと任せられる仕事ではない。(金融商品を進めるのとはちょっと違うのではないかと‥)
・どのお客様にいつ電話したのか、その結果どうだったのかというデータベースの用意、入力を含むその運用とメンテンナンス
・コールセンター用の電話、電話番号、場所の用意などなど

まぁ、通常のサポート用のコールセンターと一緒にやっているにしても、それなりにコストが掛かるのは確かだろう。

一方で日本の金融機関は収益率が低い、護送船団方式の考え方が抜けず、競争力が低い、金庫としての役割以上ができていない‥とよく聞く。

しかしなぁ、こんな振り込み詐欺を防ぐためにコスト(費用だけでなく、人材とか工数とかすべて含め)を使っていたら、それでは山のように人もお金も必要だろうと思う。

システムで一回あたりの振り込み金額の上限をつけ、それ以上は窓口というぐらいまでやってあれば、銀行としての預金者保護は十分ではないかと思うのだけれど、それだけだと世間様や大蔵省は許してくれないのか?
それとも銀行側の余計な気を回しすぎtの忖度なのか?

どちらにしても、この顧客保護が収益向上につながることは、私の頭では想像できなかった。

もしも、銀行というものに、世間がこういった対応を銀行に求めるなら、いつまでたっても高コストが掛かり、銀行の収益性は上がらず、結果私達の預金の利息が高くなることもないのだろう。

日本の労働生産性は低いと言われているが、日本の労働生産性を下げているのは、組織の問題だけでなく、顧客のリクエスト、それはつまり無料のサービスに次から次へといろんなものを求める日本人の国民性なのかもしれないなぁ‥と思った一コマ。

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