混沌に立ち向かうということ

慶応丸の内シティキャンパス主催による内田樹先生の講演に参加してきました。
90分の講演は本当に多岐にわたってあちこちの分野のお話を伺いました、自分の備忘録として以下にメモを残しておきます。

仏文学者でありながら、世相についてあれこれ発表されている先生の情報ソースは日本の新聞4紙のみ。
読んでいて「何か嫌な感じ」を受ける記事について、欠落情報は何かというところから考えて様々な見方をまとめていらっしゃるとのことでした。

その後のお話でもありましたが、先生は合気道を長年やられているとのことで、「身体的違和感」を非常に大事にされていらっしゃいます。

現在はまったく先の見えない状況で(まさに混沌としている)ものを考えるには、大風呂敷で道筋を作ることが非常に重要であるとのことでした。
この世界の先の見えない状況は進歩史観の行き詰まりからきているのではないか?
例として、アメリカのアフガニスタン撤退。この10年はいったいなんだったのか?

アメリカの西太平洋戦略も、韓国の軍備縮小、フィリピンの軍撤退など大きく変わりつつある。

ロン・ポールのような米軍撤退を掲げる大統領候補の存在もあり、共和党が大統領選に勝利した場合にはまた先が見えなくなる。

どちらにしてもアメリカの軍備は縮小傾向にあるので、アメリカが日本の国防を放棄する可能性はなくはない。
パクス・アメリカーナは崩壊過程にあるといえる。

その時の日本を考えている政治家がいない。(特に国防問題)
常にアメリカらの指示待ちというマインドセットから抜け出せない。
日本人が自分で決めないといけないという自覚がない。

未だに経済成長を掲げて、政局ばかりを日本の政治家はみているが少子高齢化が進む限り、経済成長はない。

少子化は女性の高学歴化と教育費の高騰の問題がもたらしている。

現代は文化資本による階層形成が未だかつてなく進んでいる(*高学歴な人ほど高収入という構造)ため、ビジネスマインドで子育てを考えており少子化傾向は避けられない。

超高齢化社会への対策を誰も考えていないが、劣化は一度に起こると考えられる。

国からのトップダウンは期待できない。自分のできるとことから、身近なところから、コミュニティをつくり、セーフティネットを局所的に作る必要がある。

国民自身がそれぞれ社会正義を実現する。

その他Q&Aも面白かったのですが割愛、以上ざっくりまとめ。

このあともこの慶応大学の講演会は2つ予約しています。丸の内という便利なロケーションで18時半スタートというのが私には有り難いので、ぜひちょくちょく参加させていただこと思っています。

やっぱり生で人に合うというのは、刺激的だなとしみじみ思いました。改めて内田先生の著作を読み返してみたいと思います。

私の思想は内田先生、河合隼雄先生、岸田秀先生の影響が強いです。

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