「いつか」は来ない

私は一時期、ほとんど毎日のように着物で暮らしていた時期がある。犬の散歩も着物だし、スーパーに買い物に行くのも着物、仕事も当時からフリーランスで在宅も多かったので着物だった。(顧問先も許されるところでは着物で訪問)
高い着物をきちんと着付けてなんてことはなくて、木綿の着物を普段着に着ていただけのことだ。
(とんでもなく太って、洋服が入らなくて、かといって洋服を買い換えるのも癪に障るというのも一因だった)

その後にこの生活は、夏場に洋服に切り替え、ジムに通うときに不便だったり、母と同居してクローゼットが減ったり、なんとか痩せたりといった様々な要因でなんとなく終焉した。
とはいえ、また着物暮らしを再開したいな‥とは思っていた。

その後住居が狭くなり、着物を広げる場を作るのが大変で、そうなると片付けが億劫なため、着物は持ちつつもなんとなくそのままになっていた。

そうして、昨年逗子に転居して、着物を広げられるようになったのだけれど、犬の散歩は海岸や山だし・・・・とか、クローゼットも出しやすいように整理しないと…考えているうちに、まぁそのうちね‥とグズグズしていた。
私が着物を着ても着なくても、誰にもなんの影響も迷惑も与えない‥というのもグズグズの理由かも。

転居して半年以上経って、きっとこんなだと一生もう着物暮らししないんだろうな‥、だったら処分しようかな‥と思っていたところに、以前からネットではよく見ていた染織こだまさんのイベントがそう自宅から遠くない菊名であることを知り、たまには電車に乗ってみようというのもあって、行ってみることにした。

せっかく電車に乗るんだから‥と、横浜でお昼ごはんを食べることにした。
そんなふうに張り切って出掛けてみたものの、横浜の人の多さと歩いている人のスピード感に圧倒されてしまい(昔は丸の内とか六本木ミッドタウンのような最先端な場所で働いていたはずなのに…)、もうその時点でエネルギー消失。
改札を出て、すぐのLUMINEに入ってしまい、駅の外にも出なかった。

やっつけ感満載のお昼ごはんを食べ終わると、イベントにはかなり時間があるので、LUMINEの各フロアを1つずつ見て回った。

何度か書いているけれど、逗子にはとにかくおしゃれな人が少ない。センスの良い人はいるけれど、なんというか気合が入ったオシャレな人がいない。外向けにオシャレをしている人がとにかく少ないというのだろうか。

ましてや私がそもそも好きな辛口系なすっきりした服を着ている人はほとんど見ないし、ついでに言うならメイクもしていない人が多く、さらに言うとパンプスを履いている人も中々見ない。
たまに法人のお客様訪問のために、スーツを着てパンプスで逗子の町中を歩いていると、ものすごく目立つ気がして気が引けるぐらいだ。

だから逗子の中にずっといると、オシャレのトレンドがさっぱりわからない。
東京だと自分がトレンドを追うようなタイプでなくても、周囲から自然に目に入ってくる情報で意識せずともわかっていたものが、全然わからないのだ。
地方から出てきた学生が3ヶ月もすると、すっかり垢抜けるのと逆バージョンだと思う。

あちこちのショップのウィンドウを眺めて、ああ今こういうのが流行っているんだな‥とは見えてきたけれど、そんな服を着ている人が周囲にいないので、どうも買おうというところまでの欲が出てこない。バッグ然り、靴然り。

欲が出てこないもう一つの理由は、そういうのを着て行く場所も予定もないことだろう。コロナで外食しないから‥というだけでなく、生活すべてが近所ですっかり完結してしまっていて、オシャレしたくなる場所に訪問する機会は、多分コロナが終息してもなさそうな気がするのだ。

いや、物欲なくなったわー‥と思っているうちに時間になり、着物のイベント会場に移動した。

会場では反物が↓こんな感じでわーっと並んでいた。
(※こちらは今回のイベントのものではなく、別開催のイベントのものを染織こだまさんがInstagramに投稿しているものです。)

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

染織こだま(@someorikodama)がシェアした投稿

ここで、なくなったはずの物欲がふつふつとわいてきて、物欲の塊に変身。

たまたま会場で居合わせた初対面の方々と、着物の話で盛り上がり、普段に着物を着て暮らす楽しさをリアルに思い出してきた、さらに素敵な反物に会えたのもあって、気持ちがものすごく着物暮らしに傾いた。
クローゼットも出しやすく整理しないといけないし、海と山の散歩問題もあるけれど、「今」着物暮らしを再開しないと、もう一生やらないな‥それは嫌だな‥と強く感じた。

年齢を重ねてきて思うことの一つに「『いつか』という日は来ない」というのがある。

「いつか時間ができたら大学で学ぼう」
「いつかお金が溜まったら、海外に行こう」
「少し落ち着いたら、毎日家で料理をしよう」
「子育てが終わったら、両親を旅行に連れて行こう」

というようなことを私たちはよく口に出すけれど、ほとんどの場合、そういった時間やお金というようなリソースが自然にやってくることはない。
時間ができるはずのときには、違うなにかで大抵の人は埋めてしまっていて、また時間がなくなっているし、お金はまた別のことに使われてしまってそこに回す分はいつまでたってもない。

自分の思っていることをきちんと実現化する人は、「待たない」人。具体的に自分でそれに向かって動く人だけなのだ。

ぼんやりした願いごとを持ってはいけない・・ということではない。いつかガーデニングがしたいな・・とか、以前やっていた趣味を再開したいな・・とか、空想するのは愉しい。
それが別にかなわくてもいいかな、かなったら嬉しいけれど、程度のことならその時間を愉しむのも素敵なことだ。
でも、そうじゃなくて本当にかなえたいなら、具体的に動いたほうがいい。

私自身、時間は有限だからやりたいことはどんどんやっていかないと‥、明日生きている保障なんてどこにもない‥というのは、若い頃から頭ではわかっていても、実感はなかった。
40代後半から、すごく現実的に老化というのは体力が落ちるだけじゃなくて、心身のあらゆる面の機能が徐々に失われていくんだな‥というのを実感するようになった。
そして、時間の有限性が想像の産物からリアルな手ざわりのあるものに変わってきた。

以前に流行った言葉に「今でしょ!」というのがあったけれど、それが身にしみてわかったのは、コーチとしては本当に恥ずかしいように思うけれど、人生の残り時間が実感できてきたごく最近。

そんなわけで、最近は思いついたことはどんどんやっていくことにしている。次の問題は、多分、色々やりすぎて、どれもこれも薄くなることを避けるのに何を捨てるか決めることなんだろうなぁと思っている。

 

追伸:だからっていきなり3枚も着物の仕立て頼まなくてもいいとは思いますが、ついつい勢いついてしまった戦利品(?)
夫は着物のことがわかっていないから、手ぶらで帰ってきたので、買い物しないで帰ってきたと思っている様子、私の着物の柄などまったくわからないはずだから、きっと増えても気が付かないだろうなぁ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

  1. NO IMAGE
  2. NO IMAGE
  3. NO IMAGE
  4. NO IMAGE

    2008.11.02

    talk through
  5. NO IMAGE

    2004.12.30

    大変なこと

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。