どうやって読みたい本を見つけるのですか?

萩尾望都さんがブラッドベリが好きだといえば、ファンはそれを読んだ。『ベルサイユのばら』にいれあげていた子はツヴァイクを読んだし、山岸凉子さんの短編がでれば、カポーティを読んだ。一条ゆかりさんがサガンをベースにしたといえば、
「やっぱりねー。わかるわー」
とナットクしながら、サガンを貸し借りした。

「いっぱしの女」 氷室冴子著(ちくま文庫) p165より

本を読む人が多い環境で育ったので、自分を読書家だと思ったことはないけれど、1年に1冊も読まないという人から見ると、読む方なんだろうと思う。

本をあまり読まないという人からよく質問されることに「どうやって読みたい本を見つけるのですか?」というのがある。

リアル書店だったり、知人・友人のオススメだったり、Amazonの読書履歴にもどつくオススメだったり、ネットや新聞の書評だったり、出版社のTwitterだったり本当に様々だけれど、一番多いのは、上記の引用のような「本が本を連れてくる」というやつだ。

本を読んでいると、本の中に次に読む本が出てくる。ある著者が好きになれば、その人の他の作品が読みたくなり、それから文庫本だとあとがきを書いている人の内容を読んで、そのあとがきの書き手の本も読んでみたくなることもしばしば。

また、本の中で、ある本が何らかの形で取り上げられていれば、それももちろん読みたくなる。
上記の引用の例で言えば、まず、萩尾望都さんて誰?『ベルサイユのばら』?…となっていく。

きっと村上春樹の本を読まなければ、私は「グレート・ギャツビー」もジョン・アーヴィングの長い小説も読むことはなかったと思うし、池澤夏樹の本を読まなければ、マリオ・バルガス=リョサの本もイサク・ディネセンの本も読まなかったと思う。

若い頃は、本に登場する映画や音楽にも広がったけれど、今のように検索すれば何かしら出てきて、Youtubeで音楽が聞けたり、動画配信みたいなのがなかったので、入手しやすい本に行きがちで、現在もそれが続いている。
No MusicでもNo Movieでもいいけど、No Bookは私には無理。No Book, No Lifeだ。

最近は、小説や文学といったフィクションを読むことが若い頃に比べて減ってきた。若い頃はほぼ100%フィクションだったけれど、20代以降ビジネス書やら、社会学、心理学、哲学、ノンフィクションに流れていった。

日本のビジネス書(正確にはビジネス系自己啓発書)の大半は次の本を連れてこない。個人の成功体験の話が多いので、参照した本をほとんど出してこないのだ。その点、最近人気の山口周さんの本は参照本の丁寧なところが、とても良いと思っている(読みたい本が増えて実際は困っているが)。
こういうのが日本でもスタンダードになれると嬉しい。

全部追っかけるわけにはいかないので、何度も引用される本のみ読もうと思うが、それはそれで名著揃いで読むのに気力も体力もいるし、図書館の返却期限に読み終えるのも難しく、何度も読み返すし、レファレンスとしても必要になるので、購入必須となり本棚を圧迫する。

この記事を書いていて思ったけれど、多分、これは「習慣」の問題なんだな‥と思う。スーパーで美味しそうと思うお菓子を見ても、私は美味しそう‥と思って、そのまま通り過ぎてしまうことが多い。
買うと嵩張るし、いつ食べるか迷うし‥お菓子はすぐ習慣化するから体重も気になるし…などと考えているうちに面倒になるのだ。

これが本だと、値段も見ずに買って、山ほど読みたい本があるんだから、まずそれ読まないと‥とか全く思わない。
本をつかんでレジ直行。

「どうやって美味しいお菓子を見つけるのですか?」
という質問をしたら、多分お菓子を食べる習慣のある人は、「美味しそうって思ったら、買うの、で、食べるの」って子どもを諭すように呆れて言うだろうと思う。

「どうやって読みたい本を見つけるのですか?」と言われたら、「見て面白そうだなとちょっとでも思ったら、手にとって読むの」っていうのが私の回答なんだろうな‥と思う。

追伸:
上記で引用した文章は、氷室冴子さんってエッセイ書いてたのか‥と本屋で手にとってしまったこの本から。

中学生時代によくこの方の小説読んでいて、懐かしい〜と躊躇せずに地元の本屋さんでお買い上げしてしまいました。

そして、この人のこのシリーズ好きだったなぁ‥とKindleでポチッとね。

読んでみたらとにかく懐かしい。表紙も挿絵も大好きだったー‥と読み返してしまい、あー、50歳になって読んでも甘酸っぱくて倒れそう…。はい、これもう近日中にシリーズ全巻読んじゃうの決定。
古い本まで、連れてこられちゃうって‥しかもKindleでポチッと入手できちゃうって本当に恐ろしい世の中だと思う。

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