私は読書の際になぜ線を引かず、付箋を使うのか…(仮題)

 本に線を引くことがなくなった。

 いつの頃からか記憶が定かではないが、以前は、本に線をひいていた。

 シャーペンで線を引いていたのは、多分立花隆氏の影響。
その後、齋藤孝氏の三色ボールペンの本を読んでからは、重要だと思う箇所は「赤」、赤ほどではないがそれなりに重要だと思うところは「青」。そして、重要か重要ではないかはさておき、興味をもったところは「緑」と色分けしていた。
確か斎藤氏の本では、緑と赤が並行して並んでも全然問題ないし、最初は青だと思ったところが、赤だと思ったら、その横に赤の線を並行して引けばいい・・・というようなことが書かれていたと思うのだが、これがもう線だらけになってしまって、どうもかえって読み難いと思うようになった。

 ページを折るというやり方をしていた時期もあるのだが、このやり方だとページ内のどの文章を大切だと思ったのかを思い出すのが面倒くさかった。

 線を引く、ページを折るのどちらも続かなかったのは、あとからもっと知りたい事柄に関するもっとわかりやすい説明が出てくることが多々あることだ。
よくあるのは、バンバン線を引いていったら、表にまとめてあるページがあとから出てきたとか、もっと良い説明が後ろにあったとか‥だ。
こういうことがあると、このまとめページだけ印をつければ良いということになる。
読み返すときに線が残っていると、かえって邪魔になる。ページの折り返しも、開き直しても折り目がついてしまって、もうあまりきれいではないし、開き直したページというのはなんだか悲しく見える。

 ここ数年は付箋を貼っている。私が使っているのは、3Mの44x6mm の細いもの。
これじゃないとダメ。
紙のタイプのものは繰り返し使えないし剥がれやすいので、安くても使わない。
3Mのこのタイプは何度でも使えて本当に素晴らしい。
この伏線を、気になる文章の上の部分に貼っておく。

 以前は、DELFONICSの付箋もずいぶんと使った。
一行に2つの文章が入っていることは結構ある。よくあるのは最初の文章が終わり、そのまま改行が入らず次の文章が入っているケース。こういう場合に後ろの文章に線を使いたい場合は、このDELFONICSの付箋を使っていた。
最近使わなくなったのは、Amazonで購入できないのと、細くて見た目はきれいなのだが、細すぎて折れてしまうことが多く、結果汚くなってしまうことや、何度も使えないので不経済になることなどがその理由だ。
とは言え、雑誌や二段組になっている分厚い本などにはこれじゃないとダメ‥という場面もあり、今も一部使っている。

 購入した本、借りた本、読み終わった本は、忘れていなければ、MediaMarkerに記録をする。
間違えて同じ本を買うのをふせぐために使い始めたが、もう何年も使っており、私の読書生活に欠かせないツールとなっている。
年末にはこのツールをもとに1年の読書を振り返って、その1年のベスト5となる本や大体何冊読んだかを把握して記事を一本書くのが習慣化してきている。(例:2017年 読んだ本ベスト5

 読後の登録のときに、その本の自分なりの評価を★5段階でつけ、さらに少し感想を書く。
その際に付箋の箇所をパラパラと読み直す。
そして、付箋の中でこの部分はすごくいいなぁ、憶えておきたいなぁ‥と思ったものは、引用登録をする。
引用登録の話は、「書き写しで文章力アップ」という記事で書いたので、ご興味ある方はこちらをお読みください。

 本からの文章の抜き書き(引用登録)については、作家で元外交官の佐藤優氏も勧めている。
私が以前参加した氏の早朝講座では、たくさんの抜き書きはしない。できるだけ絞ったもののみ抜き書きをする。その際にその文章に際して一言自分なりのコメントをつけると非常に力がつくというお話だった。
お話を聞いて、コメントを書いていた時期もあったが、なかなか思いつかないことや、MedaiaMarkerを一般に公開してしまっていることから、あまりに私的なことも書けず、そんなことを考えていると時間ばかり取られるので、結局書かなくなってしまった。

最近は、野口悠紀雄先生の本や勝間和代さんのブログに刺激され、引用登録に関しては音声入力を試したりもしている。

 多少なりとも面倒な引用登録までしようと思う箇所はやっぱり少ない。
付箋を貼るときは、気にせずバンバン貼るが、その部分の大半は外されて、別の本のカバーの裏側へと移動していき、そこからまた別の本に貼られていく。
その度に、これ全部線を引いていたら、相当必要ない箇所に引いちゃうだろうな‥かえって後で分かりにくいな‥と思うので、画期的な他の方法が見つからない限り恐らくこの付箋スタイルはしばらく続くと思う。

 一方で、線の引いてある本も素敵だと思う。
 私は、祖父の本棚にあった岩波文庫をいくつかもらった。
セネカの「人生の短さについて」やウォールデンの「森の生活」などがそれだ。
そこには、祖父が引いた赤鉛筆の線と私の引いたボールペンの線が混在している。
読み返すたびに祖父とその本について静かに話をしているようで嬉しくなる。

やっぱり私は本が好きだ。

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