リカと3つのルール: 自閉症の少女がことばを話すまで”

私の1日の中の楽しみの時間に、お昼ごはんを食べながら「大手小町」を眺めるというのがある。
この相談の中に、一定の割合で「学習障害」「ADHD」というような言葉が表れるようになった。少なくとも私が子供の頃にはこれはあまり聞いたことのない言葉だし、私が育児をしていた20年前にもあまり聞いたことがなかった。
(まぁインターネットもなかったので、情報が限られていたというのもある)

でも年々、この言葉を聞くことが増えてきて、感じた素朴な疑問。
「それは近年急に増えたのか?それとも今までは、病気と認定されず、わからなかったのか?さて、治療はあるのか?予防はできるのか?」ということ。

そんな疑問に、ちょっとヒントが隠れているのでは?何しろこの本は新潮社の本だから、そう難しい医学用語も出てこないだろう…と読んでみたのがこの本。

思った通り、難しい用語は出てこない。でも、著者が直面している自閉症の子育てはかなり難しい。

自閉症は心の病気ではなく、脳の機能障害だ。もっとも重い障害のひとつであり、75%に知的障害がある。知的障害のない自閉症も存在していて、それはアスペルガー症候群とも高機能自閉症ともいわれる。
原因は不明。三歳までに発症し、視線合わせや表情などの欠如がある。視線を合わせることができないため、相手の気持ちが読めない。コミュニケーションに重大な障害があり、社会的自立はきわめて困難。<BR> また、多くの患者にことばの発達の遅れがあるか、まったく発達しない。一生ことばを理解せず、話せない自閉症患者も非常に多い。

日本国内ではアスペルガー症候群などを含めた患者数は120万人以上。これはぜんそくの患者数を超える。

著者は学生時代、家庭の事情からひどく苦しい時期を過ごし、その後自力でビジネスを成功させた。外車を乗り回し、高級マンションに暮らし、夫妻で子供には最高の教育を受けさせようと想像していたところ、授かったのが自閉症のリカちゃんである。

生まれてきたリカちゃんの様子がなんだか他所のお子さんに比べておかしいのでは、(特にコミュニケーション面で)と感じた著者は、いくつもの小児科を回るがどこでも「しばらく様子をみましょう」と言われる。

そして知人の精神科医に相談したところ、精神科の受診を勧められる。
そのドクターの話はわかりやすい、小児科医は成長曲線を見るが、精神科医はこれまでできたことができなくなったことに、焦点を当てるのだと言う。
リカちゃんは当初できていたコミュニケーション行動が徐々に減っていくという行動が見られていた。

そして、リカちゃんはその紹介により、上智大学の研究室に通うようになる。(自閉症とすぐに判断される)
日本では通常、自閉症は治らない病気とされているが、米国から効果があるという報告のある治療をこの大学では研究を進めていた。日本で一箇所、ここでしか受けられない治療であるという、保険適用はもちろんないが、著者はこれを試してみる。

シンプルなルールを徹底させるこの治療は、私に犬のしつけを想像させる。自閉症の子供というのは、集中力が極端に低いようでとにかく明確に行動を示し、ご褒美をあげて、その行動を記憶させるということらしい。なるほど…と思うことが多い。

リカと3つのルール

はっきりと指示する
短く簡潔に。
相手と目を合わせれば、なおいいです。
はっきりした声で言う。

失敗させない

指示したら、すぐに手助けする
やって見せて、言って聞かせて、やらせてみよう。
手助けはだんだん減らそう。
失敗しても、怒らないで。

すぐに強化する

相手が良いことをしたら、すぐにほめよう。
相手が喜ぶことなら、なんでもOK。
どんなに遅くても60秒以内に。

このシンプルな治療はかなりはっきりとした効果を示していき、さらに娘の存在が成功本にひたっていた著者に人生をたっぷりと内省させるというストーリーである。

お嬢さんはこの本の中では、保育園児までの姿が描かれている。このあと小学校が始まると彼女は特別支援学級に行くことになるのだろうか?

私が義務教育を受けていた頃は、少なくとも小学校には学年に数人、障害のある同級生はいて、突然大声を出したり(大体の場合は、他の同級生がちょっかいを出したりするという、原因があったと認識している)、すごいスピードで廊下を走ったり、ということを見かけた。
娘の小学校には、じっと座っていられない、先生の注意がまったく聞けないお子さんがいた。

もちろん、その分授業スピードは遅くなったりするので、他の親御さんからクレームが出たりすることもあったようだ。

私は個人的には、義務教育の範囲でそんなにキリキリ勉強しなくても良いだろうと思っている方だ。世の中には障害者が存在する。(というか、誰がいつ障害者になるかはわからない)だから、学校にいてもおかしくないと思うし、むしろ障害者が隔離されて全然別の場所に常にいるというほうが、ちょっと怖い。

もちろん、障害のあるお子さんにとって専門の施設があるところのほうが、落ち着いて勉強できるというのなら、それはそのほうが良いと思うが、私は学校は普通の学校にいて、サポートの先生が担任と別につくという方が良いと思うのだ。どちらを選んでも最後には私たちは一緒の社会で暮らすのだから。お互いに慣れておいたほうが良いと思うのだけれど。

まぁ、義務教育での話はこの本に出てこないので、これはあくまで寄り道の私見。

さて、この本全体について、感じた違和感を最後にまとめる。
この本の読者ターゲットの設定がよくわからない。まぁ、まずは、自閉症のお子さんを持つ家庭というターゲットがあるだろうが、前述したリカちゃんの3つのルールは、一部ビジネスの世界にもあてはまるため、著者はところどころ、この部分は自分のビジネスにも生かしたと記述している。
なんとなく、著者(もしくは出版社)はこの本を成功本の一分野であるということにしたいのではないかな?と思う。まぁ、心理学や医療の分野だけで売ると一般の書店で扱いにくいというのもあるのかもしれない。

また著者の自分語りもかなり長いので、この辺にはかなり好き嫌いがあると思う。(私は個人的にはそれほど興味を惹かれなかった。成功本によくある話という感じかな)
まぁ、まずは立ち読みで…気に入ったら購入というスタンスで良いと思います。読みやすいのは確かで2時間かからず読めました。

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