2020年:読んだ本 ベスト5

【2020年読書概況】

昨年の2019年は読書管理ツールでさんざん困らされたので、今年はずべてExcelで集計しました。
いつまでサービスが存続するかわからず、サービス内容も度々変更が行われる無料の読書管理ツールにはほとほと懲りましたので、しばらくこの形式のままだと思います。

さて、2020年12月28日現在、読了数は284冊。(再読本は含んでいません)
とても多いように見えますが、漫画をのぞくと例年より少し多いかな?という程度の読了数のような気もします。

漫画なんて冊数に入れるな!という方もいるでしょうが、やっぱり日本の漫画ってスゴイよな‥と改めて実感した1年でした。
ざっと数えて新たに読了した本の100冊ぐらいが漫画でした。このぐらい読めると充実感があります。

少し前までKindleで漫画というのは読みにくいと敬遠がちでしたが、老眼になると読みにくいところを拡大できるので、Kindle有り難い!に変わったというのも、冊数が増えた理由です。

一方、昨年と違って少なかったのが、ビジネス系書籍。
もう随分と長いことかなりの冊数を読んできたので、今更いいでしょう‥というのと、ハーバード・ビジネス・レビューを定期購読しているので、それで十分なことが多いです。

【2020年に読んだ本ベスト5】

以下、私が2020年読んだ本のベスト5となります。
2020年に出版された本とは限りませんので、ご注意ください。

5位「喜嶋先生の静かな世界」

人気作家・森博嗣さんの作品。
このストーリーの中の「静かな世界」が、なんというかうっとりするほど素敵で、何度も読み返してしまいます。
ミステリーとSFの作家さんだという認識から、この方の作品と縁がありませんでしたが、以下の読書会で紹介されたのをきっかけに読みました。
自分の選択肢から漏れている本を読書会で知り、読んでハマるというのは、読書会の大きな愉しみの1つです。
この会で名前の出た小説と漫画は、これをきっかけに大半目を通したような気がします。

 第5回読書会(サードプレイス)開催報告 オンライン編

学問には王道しかない。それは、考えれば考えるほど、人間の美しい生き方を言い表していると思う。美しいというのは、そういう姿勢を示す言葉だ。考えるだけで涙が出るほど、身震いするほど、ただただ美しい。悲しいのでもなく、楽しいのでもなく、純粋に美しいのだと感じる。そんな道が王道なのだ。  いかにも、それは喜嶋先生の生き方を象徴しているように思えたし、それに、僕がその後、研究者になれたのも、たぶん、この一言の響きのおかげだった、といっても過言ではない。

4位「僕らはそれに抵抗できない」

SNS、ウェブサーフィン、メールチェック、ゲーム・・・・テクノロジーが引き起こす依存症は、良かれと思って便利だろうと思って、各メーカーが作り出したものに人間が夢中になってしまって、依存が起きちゃった…、なーんてことはなくて、依存させるように注意深く研究に研究を重ねて作られているという話から、そもそも、どういったものに人は依存しやすいのか?まで、とにかく面白い本でした。

依存の仕組みがわかると、筋トレマニアとか、目標達成マニアとか、テクノロジーに関係なくても、なぜ依存が起きるのかまでよくわかってくるし、もちろん、その仕組を理解して、どうやって依存を克服していくかの話も出ています。
見方を変えれば、これは自分のやっているビジネスや提供するサービスにどう応用するかのたくさんのアイデアのヒントが詰まっている本でもあるわけです。
ボリュームが多いけれど、興味を惹く話題が多くて、最後まで飽きずに読むことのできる本でした。

依存症ビジネスが人を操る6つのテクニックは以下の通り、詳細はぜひ本を読んで確かめてみてください。
・ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標
・予測できないランダムな頻度で現れる正のフィードバック
・段階的に進歩・向上していく感覚
・徐々に難易度をましていくタスク
・解消したいが解消されていない緊張感
・強い社会的な結びつき

3位「靴ひも」

物語を読むというのは、旅することによく例えられますが、翻訳された海外小説を読み終えると、私はいつも旅行終えた気分というよりも、深酒から酔いが抜けた気分になります。
私にとって、素晴らしい翻訳小説は、大抵の場合、なんだかよくわからない世界に連れ込まれて、景色には見覚えがないし、登場人物に共感できるとも賛同できるとも感じないのだけれど、なんだか妙に一つ一つのシーンが心にのこり、読み終わるとそこから放り出されたような気分になるのです。
バーから追い出されて、どうやって家にたどり着いたかよくわからないけれど、起きたら自分の布団で寝てたみたいな‥。
この本もそんな1冊でした。

すごく良かった!という感想も、さっぱりわからなかった、つまんなかったという感想も出そうな物語。そこに自分がはまれる小さな穴みたいなのがあるのが、なんだか嬉しかった本です。

2位「ブルーピリオド」

一緒に読書会を運営しているTomokoさんのお薦め本で、夢中になって読みました。イケてる男子高生が突然、絵にハマり、芸大を目指すという物語。前述の通り、2020年は随分と漫画を読んで、良い本にたくさんめぐり逢いましたが、やっぱり一番印象深かったのはこれでした。
ずっと続いて欲しい連載です。

これに関連する本として、暮れに読んだ現代アーティストの会田誠さんの「げいさい」を挙げておきます。
こちらは芸大浪人中で予備校に通う主人公の話です。芸大に受かるための受験絵画について悩む話や、日本の美大の持つ問題点なども出てきて、非常にブルーピリオドとシンクロする作品で、これまた面白かったです。しかし、会田誠さんてどこまで多才なのだ…。文章上手い…。

作者のお二人の対談が、両方を読み終えた後にあることに気づきました。ご興味のある方はぜひこちらを一読されてみると良いのでは?

日本一受験倍率が高い 東京芸術大学絵画科卒の二人はなぜ美大受験を描くのか 若者たちを翻弄する最難関、「芸大受験」 #1

芸大受験にはデッサン力が必要なのに……「自由に絵を描きなさい」の難しさ 若者たちを翻弄する最難関、「芸大受験」 」#2

1位「測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか? 」

最後の1位に結局ビジネス書というのは、自分としてどうかと思ったのですが、いろんな顧問先と話をしていて、従業員や管理職、部門のマネジメントに目標値やらKPIとか入ってくるたびに、導入効果の良い面より、悪い面が多いな‥と感じることが、ここ数年増えてきて、そあたりのモヤモヤの正体は、これか!と、思わず膝を打ちたくなった本ということで、1位としました。

測定執着とは、それが実践されたときに意図せぬ好ましくない結果が生じるにもかかわらず、こうした信念が持続している状態だ。これが起こるのは、重要なこと全てが測定できるわけではなく、測定できることの大部分は重要ではない(あるいは、なじみのある格言を使うなら、「数えられるもの全てが重要なわけではなく、重要なもの全てが数えられるわけではない」)からだ。ほとんどの組織には複数の目的があるが、測定され、報酬が与えられるものばかりに注目が集まって、ほかの重要な目標がないがしろにされがちだ。同様に、仕事にもいくつもの側面があるが、そのうちほんのいくつかの要素だけ測定すると、ほかを無視する要因になってしまう。測定基準に執心している組織がこの事実に気づくと、典型的な反応はもっと多くの実績測定を追加するというものだ。そうするとデータに次ぐデータが蓄積されるが、そのデータはますます役にたたなくなり、一方でデータを集めることにますます多くの時間と労力が費やされてしまう。

事前に設定された数値目標に合わせるように人の働き方を強制すると、ほぼすべての状況で貴重な資質であるイノベーションと独創性を抑えこんでしまいがちだ。そしてほぼ間違いなく、長期的目標よりも短期的目標の方が重視されるようになってしまう。

4 【過去の本のベスト5の記事はこちら】

2019年:読んだ本 ベスト5

2018年:読んだ本 ベスト5

2017年:読んだ本 ベスト5

2016 年:読んだ本 ベスト5

2015年:読んだ本 ベスト5

2014年: 読んだ本 ベスト5

2013年:読んだ本 ベスト5

2010年:読んだ本 ベスト5

2009年:読んだ本 ベスト5

2008年:読んだ本 フィクション ベスト10 及び ノンフィクション ベスト5

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