ヴァロットン展 三菱一号館美術館

東京都写真美術館の「フィオナ・タンまなざしの詩学」とどっちに行こうか迷いましたが、前後の予定が御茶ノ水と銀座だったので、丸の内にある「ヴァロットン展」三菱一号館美術館を選択しました。

最近気がついたのですが、私は色使いの多い絵よりも色使いの少ない絵の方に魅力を感じるようでヴァロットンの絵に代表されるような多彩な色彩は、あまり好みじゃないかな…と思っていたのですが、彼は非常にたくさんの版画も残していて、これがとてもCOOL! ぜひ実物をを観てみたい!と足を運びました。

三菱一号館美術館は丸の内という便利なロケーションなのと、古いビルを活かした美しい建物で、本来アートそのものよりも実は美術館の建物と雰囲気が好きという私にはお気に入りな場所でもあります。

「20歳の自画像」はヴァロットンの名を世間に知らしめた最初の作品。
なるほどこういう絵を描く人は確かにこのぐらい繊細な風貌をしているかもしれないと思うものがありました。
ここで言う「こういう絵」というのは、この展示会のポスターとして使われた「ボール」という作品をイメージしています。

わざわざこんな注釈を書いたのは、ヴァロットンは絵画も晩年と初期の作品とで随分と印象が変り、さらに版画も含めると、いったいどういう人なのか?…私には一貫したイメージが持てなかったからです。

前半は対象物と一定の距離感がある客観的な視点を持った作品が多いように感じます。魅力的だけれど、とても静かな絵。
Webサイトで画像を見るとよくわからないのですが、実物を見ると非常に色使いが繊細で、また日本人だとちょっと思いつかない色の組み合わせが絶妙です。「肘掛椅子に座る裸婦」「秋」など。

室内にある家具調度品の細部へのこだわりもとても美しくて、中でも「フェリックス・ヴァロットンのアトリエにいるマックス・ロドリーク=アンリーク」には惹かれるものがあり、何度も観ました。

「狼狽」「見知らぬ人」「婦人帽子店」などはちょっとニヤリとするような作品。こういう瞬間を見逃さず匠に表現する人の実生活はどんななのかな?と好奇心をそそります。冷ややかなのか茶目っ気のある人なのか…。

お目当ての版画はとても良かったです。
特に良かったのは、「アンティミテ」という男女を描いたシリーズ。
美術館で作品を観て、こんなの自宅にあったら嬉しいなぁと思うことってほとんど無いのですが、ヴァロットンの版画はそういう気にさせる何かがありました。さり気なさがとてもお洒落なのです。作品のサイズが小さいのもそんな気にさせる理由かもしれません。
版画については、この三菱一号館美術館の収蔵作品が多いので、また観る機会がありそうです。

1907年以降は、戦争への思いからヴァロットン自身の持つメッセージを表したであろう作品が続きます。
私的にはメッセージ性の薄いであろう第三者の視点で描かれている初期の作品のほうがずっと好きです。晩年の作品にはどこかで観たような作品ばかりのような印象を持ちました。

絵画を観る度に思うことが、画家というのは著者の見えているものや具体的イメージをそのまま写し取るように描いているのか、それとも本来自分が見たものからはだいぶギャップがあるが、そこから想起したものを自分の持っている画家としての手腕でできるところまで描いているのか、どっちなんだろう?ということ。
どうやったらこういう風にモノが見えるのかな〜と様々な作品を観る度にいつも考え込みます。

この展覧会と直接関係ないのですが、途中のお部屋で「静嘉堂の東洋陶磁コレクション 第1回「艶めくやきもの―清朝の単色釉磁器」の展示があり、こちらもすごく良かったです。
同時開催を知らずに訪れたのですが、私はこちらのほうがむしろ印象に残りました。
どうも絵画よりも陶器とか彫刻とかのほうが心惹かれるようです。(最近気がついたのですが…)

とにかく発色が素晴らしい上に、フォルムも非常にシンプル。迷いの見えないそのシンプルさ故に惹かれるものがありました。

黄釉碗 「大清康煕年製」の黄色は、こんな上品な黄色が存在するのか…と思わせるものがあります。黄色は龍を象徴する色だったそうです。
藍釉暗花龍文盤 一対 「大清康煕年製」銘は、一般的には紫という色に入るのかもしれませんが、紫という言葉では表せないものがあります。紫は高貴な色で庶民は身につけてはいけない時代があったという話はよく聞きますが、なるほどそんな時代があっても変じゃないかも…とうなずかせるものがあります。
吹青輪花盤 「大清雍正年製」銘と黒釉輪花盤 「大清雍正年製」銘という磁器もため息が出るほど美しかったです。単色というのがまた良いのでしょうねぇ。
この展覧会は続編も予定されているようです。

さて、次は何を観ようかなぁ。

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