女性のキャリアと勝ち越すという発想

先日、斎藤孝先生の「使える!『徒然草』」という本を読みました。
この本は、古典の徒然草を人生の上達論として読んでみるという内容で、なるほどと思うような人生のヒントがたくさん含まれていました。

その中の一つに
「勝たんと打つべからず、負けじと打つべきなり(勝とうと思うな、負けないようにしろ)」という言葉が出てきました。
これはある双六の名人が言った言葉として徒然草に登場します。

私はこの文章を読んで、女性のキャリアはまさにこの発想でゆくべきじゃないか!と思いました。

女性のキャリアにおけるコーチングを通じて見えてきたものは、常に「勝ちつづけよう」という考えが、いかに女性にプレッシャーとストレスを与えているかということです。
小さな子供がいても、家事や介護の負担がどんなに大きくても、周囲と同等もしくはそれ以上の成果を出そうと本人は常に必死です。
成果を出しつづけなくてはならないという強い危機感、義務感を感じます。

しかし、そんなことは本当に可能なのでしょうか?

そのような無理の中で成果を出しつづけることで得られることは何なのだろうか?
そもそも自分は何のために働いているのだろうか?という考えに至ることもしばしばです。

このような時に私は、この徒然草にあるような「勝ち越す」という考え方を取り入れるとずっと楽になるのではないかと思います。

例えば、子供の小さい時期は若干なりとも仕事にセーブがかかる。
でも、そこで同僚や後輩に負けていても、後で取り戻せば良いと思えるとずっと気分が楽になると思います。

以前に読んだ「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術」でも、会社で働くというのは長距離マラソンを走るようなもの・・・・という考えが出てきます。
長距離マラソンに欠かせないのはペース配分。
最初から最後まで全速力で走り続けることなんてできません。

貴方がもし長く仕事を続ける気持ちがあるのであれば、勝ち続けることを目指して、途中で潰れてしまうよりも、勝ち越すことを目指すほうがひょっとすると満足度は高いかもしれません。

一度負けても、また勝つ場面に踊り出る事は勿論可能です。
貴方はここで負けたら、一生負けだと思っていませんか?
一時的なキャリアダウンも選択肢に入れることができる・・・・そう思えるだけでちょっと気分が楽になるような気がします。

※ここでは、あえて何がキャリアにおける「勝ち」で「負け」かを定義していません。
なぜなら、この「勝ち」と「負け」は一人一人によって異なると私は思っているからです。

使える!『徒然草』 (PHP新書)

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コメント

  1. MICRA

    ちょっと違うかもしれませんが、
    先週の日経夕刊で仰木監督の追想録が載っていて
    仰木監督はペナントレースでは決して首位を走ろうとはせず
    「勝ったり負けたりでいい。五割で行けば必ずチャンスがあると言われ、選手はどれだけ楽になったか」と当時捕手だった梨田のコメントが掲載されていました。
    仰木監督ファンの私は「そうだ、そうだ」とうなずきながら
    涙がちょちょぎれました。
    女性だけでなく男性にも勝ち続けることは相当なプレッシャーなんですね。

  2. 黒猫ぼのぼの

    私も何か。。。投資の話だったかな、で、勝とうと思わず、負けないようにする。。。テニスの試合ですごい玉打てなくても、とにかく返していると相手がこける。。。とそんな話聞いてなるほろねー。と思ったことあります。(ちとずれてるかな?)
    私などもまったりと仕事続けてきて、ふと見ると男性でも鬱になってしまって仕事ができないなんて聞くと、留学までしてきて前途洋々に見えるのにねーと思ったりします。長い人生いろいろっす。
    そう思うと実際キャリアダウンした時も落ち込まずに前を向いていられるかでも違ってくるかなあ。。。そうだよ長い人生だいじょうぶ!ってわかっていたら確かに楽かも。

  3. miya

    確かに勝ち続けるって厳しすぎますよね。
    余分な力が入ってしまい返って逆効果になる
    (これは気合いとは違うんでしょうね。)
    黒猫ぼのぼのさま同様に投資の話となりますが
    「頭と尾っぽはくれてやれ」と聞いたことがあります。
    これを思いついた私はかなりずれてるかもしれない・・・(笑)
    先日TVで58才の小田和正さんが、「自分はもう少し走れる
    かもしれないです」って言っていたのをじ~んときました
    かっこ悪くても、走れる努力をしてるって素敵だなぁと

  4. s_yasu

    はじめまして、s_yasuと申します。いつも読ませてもらってますが、発言は初めてです。
    言われるとおりかもしれない。でも、この勝負には勝たなきゃいけないって時もあると思っています。
    また、勝ち負けの定義次第ですが、何かをやり遂げるには、5年くらいはかかると実感しており、その5年がかりの勝負に向けて、頑張りたい。

  5. yoshikoo

    MICRAさん>そう!その通り、仰木監督のその発想がすごく大事だと思うんです。
    黒猫ぼのぼのさん>単純にある点だけ見て、勝ち負け判断してもどうにもならない。大事なのは点が作り出す線だと思います。
    その線の良し悪しの判断だって、神様でもなければわからん・・・と最近思ったりしています(笑)
    miyaさん>努力しようと思う気持ちを持ちつづけられるというのもすごいことだと思います。
    s_yasuさん>はじめまして。ある時点でかんがえると「この勝負には勝たなきゃいけない」という時、確かにありますね。
    トータルなところでは、常に勝つではなく、勝ち越す・・・で良いのではないかなと思っています。
    5年というはっきりした数字に、何か明確な意思が感じられました。今まさに何かに向けて頑張っていらっしゃるのでしょうか?
    僭越ながら、その強い意思なら成し遂げられると感じました。頑張ってください。

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