ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

「ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り」が猛烈に面白かった。

読者としてお薦めなのは

・少なくともFacebookとTwitterの違いについて分かる人。(技術的にじゃなくてユーザとしてね)
・スタートアップに興味がある人(ITやシリコンバレーに興味があれば尚Good)
・社内政治のドロドロとした物語がメインなので、そういうのが好きな人

ノンフィクションだし、スタートアップの話だから登場人物の入れ替わりが激しいし、そもそも関係者の数が多い。さらにはある程度ITが業界がわからないと分かり難い面もあるので、万人にお薦めの本かどうかはわからないが、リズムに乗り出すと非常に面白い。

タイトルの通り、Twitterの創業から、創業者間で何度も起こる社内政治の話なのだが、シリコンバレーのスタートアップというもの、起業家というものについてのものの見方が変わる本だ。
これを読むと、成功したスタートアップの経営者がアメリカではいかに尊敬されているのかというのがよくわかる。
(逆になぜ日本のスタートアップの経営者は、たとえ成功しても尊敬されにくい文化があるのだろうか?というのも考えこまされる。)

優等生じゃない泥臭い人間が集まって作るスタートアップは、採用方法も日本から見るとぶっ飛んでいる。
採用というよりも、いわゆる英語でいうところの “join” という感じかな。いきなりその会社にトップに自分のやりたいことやら自己PRをメールで送りつけ、トップのほうもそのメールに興味をもてば、まぁとりあえず来てみなよ…って感じで、インタビューが行われ、ほぼそれでフィーリングがあえば採用決定。

何ができるの?何がしたいの?うちの会社はこんな感じの方向性だよ…というのが大体のポイントで、そこには前職で年収XXX万円だったから…とかいう話もほとんどない。だって、売上もないことが多いしね。Twitterもユーザがかなり増えても随分としばらく売上がなかった。

コミュニケーションが得意じゃない人もたくさんいるし、幼少のころから抱いているコンプレックスも大きい。
でもだからこそ、起業という中で培った友情とか裏切りとかが濃くて深くて、読者を引き込むのだと思う。
アメリカの持つ大きな強さの根源である多様性ってこういうことだよなぁ、というのを久しぶりに思い出した。

金よりも大事なのは創業者、起業家としての名声っていうのも、これを読むとどうしてそういう思考にいたるかがわかる気がする。

私がこの中で一番驚いたのは、シリコンバレーでNo.1のコーチと言われるビル・キャンベルの話。
詳細はここでは書かないが、ビル・キャンベルの行動はコーチの倫理観というものを根底から揺さぶるようなものだ。
彼のクライアントは、コーチを受けるCEOではなくて、彼を雇った役員会だった。
こんなことが非常にリアルな描写でこの本の中で暴露されても、これだけ知名度のあるコーチだと、シリコンバレーじゃありなのかなぁ・・・と不思議に思う。

当然ながら、エブには不安を和らげる機会はあたえられなかった。ツイッターでは万事順調だと思っていた。キャンベルと週に一度話をして、荒っぽく激励されていた。「あんたはくそすばらしい仕事をしてるよ!」とキャンベルが大声でいう。取締役会にキャンベルが現れて、会社の状況についてのエブのプレゼンテーションに耳を傾ける。エブの説教が終わると、コーチのキャンベルが騒々しく拍手をして、弟子のエブをハグし、一向に向かって、エブは「くそすばらしい仕事をしている!」と明言する(普通の会社の取締役会でこんな光景はありえない)。そのあと、師匠にすばらしい仕事をしているといわれて鼻高々のエブが出ていくと、キャンベルは取締役たちをどなりつける。「あのくそ野郎を叩き出さなきゃだめだ!仕事のことがぜんぜんわかってない!」(324ページ)

今回、非常に悪役として描かれたジャック・ドーシー(Twitter創業者で現在の会長)の側から見たこの本に対抗するような暴露本も出てほしいが、それはちょっと悪趣味だろうか。

個人的には途中に登場するマーク・ザッカーバーグとのやり取りも面白かった。
Facebookって使えば使うほど、印象が悪くなり、面倒になり、腹が立つというのが私の実感。
Twitterって使えば使うほど、よくわからなくなり、時々あれ?って思うような面白いことが起こってくる。このあたりは創業者のキャラクターの違いなのかもとこの本を読んで思うところあり。

で、そのTwitterの創業者って誰なのよ、結局?
・・・・というのは、この本を読んであなたが結論を出してくださいな。

※ Kindle版も出ています。注釈、図がないので、Kindleでも十分読みやすいと思います。一部創業者の写真などもあるけれど、これは白黒なのでどうしてもクリアなものが見たいと言う人でなければ許容範囲かな…と。

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