<決定版>年間報酬3000万超えが10年続くコンサルタントの教科書

なかなかキャッチなタイトルだし、装丁も目立つ。かなり注目された本のようだ。

できれば、まず最初にAmazonのレビュー評価を読んでほしい。
賛否両論だが、圧倒的にレビューの評価は高いものが多い。

…が、このレビューが参考になったという数は、レビュー評価の低いものが多いということにも気づくだろう。

実際に読んでみて、私自身、これは賛否両論が分かれる本だなぁ…と実感した。

<誰の向けの本?>

・税理士、中小企業診断士…などを始めとした士業の方
・独立して個人でコンサルタントをしている人
・コーチや顧問業などの人

ざっくり言うと個人でノウハウや知識、情報といった無形商材を対面で提供して稼いでいる人向けの本である。

注意したいのはこの本は、コンサルティングの手法についてはまったく書かれていない。そのあたりを期待するとがっかりすることになる。
著者の活用している手法の説明としては、かなりコーチングの要素が含まれている。
評価を下げているいくつかの理由の1つは、前半部分にかなり著者のセミナーの宣伝が多いことだ。
実際、私も販促本なのか?と思ったが、これは最初の部分と最後の部分で、中盤はまともな部分が多く、すぐに活かせるノウハウはたくさん詰まっているので、ぜひとも投げ出さないで読んでほしい。

私は一番使える!と感じたノウハウは、営業に行って、お客様の話を聞き、売り込むべきものが見当たらない時に「それほど、ビジネスが順調なら困っていることはないでしょう?」というセリフで、お客さから自発的に喋ってもらい、お困り事を聞き出すテクニック。
これは確かに便利だ。
コンサルティング業に限らず、例えばITのソリューション販売などにも使える。かなり応用範囲の広いものだ。

お困り事が聞ければ、なんらかの提案(売込み)が可能になる。

<自分の現状と引きつけて読んでみた>

私もいくつかの点で、著者と同じようことをしている。
その中でうまくいっている点、うまくいっていない点がある。

このサイトに初めて訪れた人に向けて、簡単に自己紹介すると、私は個人向けにはコーチングを提供し、法人向けにはアドバイザーという名前で顧問や単発のプロジェクトマネジメントの仕事を業務委託で引き受けている。
このアドバイザー業務にはコンサルに近い部分もかなり含まれている。

類似点1:法人向け月額顧問料30万円とその価格設定の考え方

著者は現在、法人から月額顧問料30万円を得ているとのことだ。
実はこれは私の顧問料とまったく同額である。

この価格がどこから出たのかというと、新入社員の1ヶ月あたりの人件費と比較した。
新入社員は、当然オフィスに出社するのがコンサルタントよりずっと多いわけだが、新人には社会保険や教育コスト、また即戦力として使えず、さらには採用コストもかかる。
そう考えると即戦力で且つ、一連のコストがかからないが出社日数が極端に少ない自分は、同じぐらいの金額でも悪く無いだろうという発想だ。
この点が著者の考えとほぼ同じだった。

類似点2:社長+メンバーと接点を持つ

顧客における接点を「社長のみ」の”点”ではなく、「社長と幹部社員と営業マンと若手」というように接点を複数化して”面”にする
→接着頻度が多くてコミュニケーションレベルが深いほど、コンサルタントが価値提供できるチャンスも広がり、結果的に関わる期間も長くなる。

著者は長期契約を続けるためのポイントとして、社長以外のメンバーとの接点を持つことをあげている。
これも私は実践していることだ。
とはいえ、私の場合は、契約継続を狙うため…といよりも、扱っている分野がマーケティングと営業戦略になると、周囲に入ってもらわないと、物事が前に進まず「絵に描いた餅」となってしまうので、、どうしてもそうならざる得ないのでということで、長期契約のため…という著者の目的とは異なるのだが、読んでいる限りまぁやっていることは恐らく似ているだろう。

ただ、大きく異る点が1つあって、それは著者の場合は、月1回訪問でこの金額なのだが、私は週1回訪問でこの金額であるという点。

これは私の場合は、営業とマーケティング分野を扱っているのですぐに効果が表れるというものではなく、著者はお金の流れについての話が多いので、すぐに効果が実感できるものが多いため、提供する内容の違いだと思ったのだが、どちらにしても社長だけでなく周囲も巻き込むのであれば、
いったいどうやったら、そんなことが月1回で可能なのか…?というのが、どうにもこの本を読んでもよくわからない。

週1回訪問でも正直足りてないな…と思うことが多くてメールや電話の打ち合わせも頻繁だし、足りない場合は別途ミーティングを設定することもある。
この部分のノウハウが実は私にとっては一番知りたいのだが、残念ながらこの本ではそれについてはまったく書いていない。
これは著者のセミナーに行けばわかるのかしら…。(それなら行っても十分価値はあるのだが)

類似点3:クライアントに「間違った期待」や「過剰期待」をさせない

無形商材の場合、これは非常に重要だと思っている。
私の場合、アドバイザー業務ではあまりズレがないのだが、「コーチング」のほうは、人によって「コーチング」という言葉に対して抱いているイメージがかなりズレがあるので、難しい場面がある。
そんなわけで、私はこうやってせっせとブログの記事を書き、私という人となりやコーチングのやり方や考え方をある程度知ってもらっておいてから、実際にコーチングを申込みを受けるという形にしている。

類似点4:営業のじょうご、種まき

営業のじょうごを構築する際に、考えるべき点は2つあります。
1つは、「商品(無料、有料あわせて)の強化と増加」、もう1つは、「フロントエンド商品からバックエンド商品への移行率の向上」です。
たとえば、先ほどの例で言えば、

  1. 読者数1000人のメルマガで告知したら20人(2%)が小冊子を申込、
  2. そのうち5人(25%)がセミナーに来て、
  3. そのうち3人(60%)が個別相談に申し込みをして、
  4. そこから1人(33%)が個別コンサルを契約したとしましょう。

この1から4までの流れがスムーズであればあるほど、一定の確立でスムーズに個別コンサルを契約できる、と読めてくるわけです。

これについては、私も同じような考え方を取っていて、常に種まきを行っていないといけないと思っている。
種まきをしていると安心感があり、現在の顧客にこだわらなくて済むので、営業としても強引に売り込んだり、また無理をおして契約更新を引き受けたりしなくても済むということがとても大きなメリットだ。
それにお客様も切羽詰まった営業から、モノを買うのは基本的に嫌なものだ(無形商材なら尚更…)

しかしながら、営業のじょうごは、考え方としてはまったく同じなのだが、うまくいっていない。
コーチングについては、まずはブログ→それから有料メルマガというのをやっていたのだが、ブログとメルマガのコンテンツの切り分けが非常にし難く、また書く作業が非常に負荷が高くて続けられなかった。

セミナーや勉強会をやって欲しいという声は以前からずいぶんと頂いているし、収益的には悪く無いというのは理解しているのだが、どうも私は「1対多」で何かを教えるという仕事が好きになれない。
多分双方向性が薄いからだと思う。

ということで、商材はコーチングしかないというのが現状。

まぁ、この本を読んで改めてちゃんと営業のじょうごを作るのは大事だな思ったけれど、手がまわらないので当面はこのままだと思う。

<まとめ>

最後になりますが、この本には使えるアイデアやノウハウはたくさん含まれているので、後はどちらかというと、著者のやり方や考え方の、好き嫌いと相性の問題だと思います。
尚、タイトルにある「年間報酬3000万」というのは、コンサルティングフィーだけでなく、著作物やセミナー、教材販売などの収入も入っているので、その点はちょっと注意が必要です。

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