活字アレルギー

久しぶりにガッツリとホワイトペーパーを作る仕事が回ってきて、関連資料をひたすら読み漁り、マインドマップを書きなぐる日。

全然資料がなくて、書けません‥という話だったけれど、関連する監督官庁のところとにいったら、芋づる式に資料が見つかって、なるほど、ここが根本ところなのね・・というのにたどり着いた。

私の提供された下案のホワイトペーパーは、言いたいことの雰囲気はわかるが、なんというか骨格がグダグダで、上澄みだけしか出ていないから、関係者が読めばまだしも、ターゲットになる新規ユーザや導入検討者には読み終わった後に残るものは少なく、書き手も不安に思いながら書いたのだろう‥という感じが満載だ。

英文での検索をかけると英語であればかなりしっかりした資料も随分とあるようだ。

若い人に限らず、とにかく活字の多い資料を読みたがらない、読み通せない人が増えたな‥と思うことが、ここ数年仕事で続いている。

外資系の企業の採用試験で、英語について聞かれたのは「英語アレルギーはありますか?」だった。

英語が得意かどうかではなくて、「アレルギー」とわざわざ言うのが何でなのかわかったのは、入社してからだ。

外資系に入ってしまえば、英語が苦手でも毎日格闘しているとそこそこなんとかなってくる。

(一口に外資系と言っても、日本にしっかり根付いてしまっていてほとんど、海外の同僚とやりとりなどがないというケースもあるようだけれど、私の入った会社と所属部門はそうではなかった)

とは言え、そのような環境下でも、どうにもならない人というか、英語が辛くて辞めてしまうという人が一定数いる。

この人たちは、英語のホームページを見ただけでブラウザを閉じたくなり、英語の長文の文章を読まなくていけないとき、その仕事を後回しにしてしまう。

英文を見ると「ゲゲッ!」となってしまう人たち。

英語アレルギーをかかえる人たちだ。

私も結構な英語アレルギーだったけれど、そうも言ってられなくて当時はなんとか飼いならした。

今は英語を使う仕事は基本よっぽどでないと引き受けないし、これからそういった仕事をしたいとは少しも思わないけれど、時々少しだけ必要になることがある。

もはや英語を使った仕事をする気もないのに、NHKのラジオ英語聞いたり、時々英語のブログ読んだりしているのは、英語アレルギーをひどくさせないためだったりする。

同じように日本語でも活字アレルギー、長文アレルギーが増えているのかもしれない。

Webライティングやメールマガジンでは、今はできるだけ、1つ1つの文章を短くというのが基本になっている。
私もこれらの仕事ときは、とにかく短く、できるだけ文字を少なく、必要なら文字じゃなくてイメージで説明を意識しているし、業者さんに依頼するときも同様のことお願いしている。

活字アレルギーといってもデジタルなら、SNSやチャット含め相当の活字数をかなりの人は読んでいるし、発信もしているけれど、それら自体がものすごく短い紋切り口調が多いから、ズバッと1つのことをキャッチフレーズのような形で出されないと読み気がしなくなるのかな‥とも思う。
デジタル・マーケティングの仕事をしていると、短ければ短いほど確かに格好良いし、センスが出る。
動画も同じだ。

私はそこそこ本を読む方だと思うけれど、人に読書が素晴らしいと薦めることはまずしない。
ある程度の冊数を読む人は多分同じではないかと思うが、本好きというのは家族にとっては結構迷惑な話だったりするし、本の世界じゃなくて実体験をもっとしないと‥と言われると、「いや、本当そのとおりですよ」と言いながら、また本を読んでいたりして、我ながら読書というのは逃避だといつも思っているし、それでも読むのをやめられないのだから依存症なのだろう。
年配のビジネスマンが、よく若手に「もっと本を読んで学べ」というのを聞くと、モヤモヤしたものを感じる。

とはいえ、こうして仕事の上でちょっと込み入った資料や論文が読めないというのは、ちょっとマズイだろうと思う。
AIだ、データサイエンスだ、デジタルトランスフォーメーションだ、どんどん仕事が自動化されると言ったって、その前後には必ず文章を読んで、文章を書くというのはつきまとう。
そんなのを全部、動画にしてわかりやすく説明してくれる世の中には多分ならないだろう。コストパフォーマンスが悪すぎる。
文章を読んで学び、文章で人に伝えるべきことを伝えるというのは、まだまだ相当にコストパフォーマンスが良いのだ。きちんとした読み手と書き手がいれば‥。

いや、そんなん言われても読めないものは、読めないです。
というあなたに、私が必殺技を教えよう。
これは私が大学の法学部で学んでいたときに、さっぱり裁判の判決文が読めず、困っていたときに編み出した方法。

読まなくてはいけない文章を全部写す

それだけである。
写し方は手書きでもパソコンでも問題ない。(試していないけれど、音声入力はダメかもしれない)
どうしてか自分でもよくわからないのだけれど、写しているうちに急にその文章が何を言いたいのかわかるのだ。
だから、大体の場合は全文を写すことにはなならない。
ちなみにこのやり方は英文でも効果がある。

書き写しについては、その他に文章力がアップするという効果もある。

書き写しで文章力アップ

先日、「プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか? 」の著者である神経学者のメアリアン・ウルフ氏のインタビューを読んだ。

デジタル媒体と紙媒体をめぐる比較調査があります。欧州で2000年から17年にかけて若者総計17万人を対象にした大実験です。その結果は、紙で読むほうが話の内容・筋立て・場面などをよいよく記憶し、理解できた。幼年時からデジタル媒体に親しんできた世代でも結果は同じでした。彼らには「早く読む」ことを「よく理解する」ことと取り違える傾向があることも

2020年7月12日 読売新聞 明日への考「教育の中での読書」 神経学者メアリアン・ウルフ氏 インタビューから

このインタビューを読むと、デジタル媒体というのはそもそも速読向きで、だからこそ文章も短いほうが好まれるということがわかる。
ただ、これには問題があるようで、ウルフ氏はデジタル媒体に慣れすぎると、ヒトは考えに時間を割かなくなり、短絡的になり得ることを指摘している。
とはいえ、デジタル媒体に全く関わらないというのは、今の世の中で現実的ではないだろう、デジタル媒体を読むときは意識的に注意深く読むことを彼女はアドバイスしている

自分の実体験としても、Kindleで読み始めるとどうも急いで読んでしまい、理解が伴わないことが多い。
そのため、最近は小説・エッセイ・漫画などのストーリー性のあるもの、もしくはものすごく軽い実用書のみとなってしまった。

話を戻すと、仕事をする上で避けられない文章を読むということは、早めにできるようになったほうがいい。
早くできればできるほど、キャリア形成に大きく役立ってくれると私は思う。
いきなり難しい本を読まなくて良いと思うので、まずは興味ある分野の雑誌などから入って活字に慣れることをオススメしたい。
そして、そのときはぜひ紙媒体で。

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