逗子日記:二〇二二年八月 天地始粛 (てんちはじめてさむし)

4時半に目覚ましの音で久しぶりに目覚める。
電子音よりもアナログな目覚まし時計で目を覚ますほうが、気持ちいい。まぁ、大抵は目覚ましが鳴る前に起きてしまうけれど。

朝のうちに雨が降るという天気予防だけれど、雨雲レーダーを見るとちょうどスポット的にこのエリアは雨雲がいないようなので、少しだけ外に出てトイレをさせる。終わったところでちょうど雨。
10分ぐらいしか歩いていないから、夕方の散歩はたっぷり目にしよう。

昨日のようなキツイ暑さではないけれど、湿気と風がなく朝の爽やかさはない。
ここ数日、夜中に雨が降るようで庭の草木に水をあげる手間が省けている。水をあげるのは楽しいのだけれど、その前に虫除けのスプレーをしたりするのが億劫なので、省けるとそれはそれで嬉しい。今日もこれから雨だから水やりはお休み。

北関東に出張中の夫から帰宅時間を知らせる内容と晩御飯を外で食べたい‥というおねだりのメッセージが届く。
夫の出張中は、1日2000円食費を支給している。大体は一泊二日なので、1回4000円。これが結構食費を圧迫しているのと、別予算で組んでいる外食予算は今月はすでにオーバーしているので、その旨説明して終了。

冷蔵庫にはすでに夫が作り置きしておいた鶏もも肉を漬け込んだものとゴボウのマリネがあるし、冷蔵庫の残り物を見ると、あとは私が日中に、エノキを使ってなめたけと人参と小松菜のナムルでも作れば、ほとんど作らずに済みそうだ。

冷蔵庫の中には、ジェノベーゼソースを夫が作っていたはずなのに、なぜか中途半端にバジルが残っている。
傷みの早いバジルを消化すべく、朝は玄米でナンプラー炒飯にしよう。常備食のゆで卵があるので、これを細かくして、冷凍のエビと残っているぬか漬けの人参を細かく切って混ぜればそれなりに見た目も美味しそうになるかも。

ビールのつまみにしていたKALDIのトムヤムクンのスナック菓子が中途半端に残っていたのも発見。
こちらを細かく袋の中でくだいて、投入したら、いろんなスパイスの香りがしてきて、あー、レストランっぽいぞ‥という味に。
単なるジャンクフードとも言えそうだけれど。

仕事も片付けておきたいものがあるけれど、週末だし。
これは私の仕事というよりも、やってあげればお客様は喜ぶだろうな‥という、MUSTじゃなくて、Betterな仕事だからとりあえず放置。

ポモドーロ・テクニックで25分起きに、家事と読書をするというのを試してみることにする。

今日の一番面倒な家事は、風呂場の排水周りの掃除。パネルを外し、排水溝をはずし、さらにそのパネルを1枚ずつブラシで擦る‥というもの。
この家事をするときは、いつもトム・ソーヤーの冒険のトムになったつもりでやる。
塀のペンキ塗りを頼まれたトムは、とても楽しそうにその仕事をすることで近所の子供たちに羨ましがられ、子どもたちの持っているオヤツと交換してペンキ塗りをやらせてあげる‥。オヤツもらって仕事までやらせてしまうトムに脱帽した少女時代。
子供の頃にもっていたこの本の、白いペンキを塗るトムの挿絵が思い浮かぶ。
そんなわけで、私は週末はトムになる。誰も羨ましがらないのは、残念だけれど、トム方式で熱心にやっていると、単純にモノがきれいになっていくのが嬉しく感じられる。

そういえば、我が家にあったトム・ソーヤーの本はどこからきた本だろう?
トム・ソーヤーの冒険という作品自体は、母好みの作品だとは思うが、本の装丁がまったく母好みでない。
昔のアルバムのような大きさで、紙は光沢のある中の厚手の紙だったと思う。装丁的にはシリーズもののような気がするので、児童文学全集の1冊だったのかもしれない。

鉄のフライパンの始末をしていたら、ウェスがないことに気づいた。以前は私が掃除に使うだけだったけれど、最近は夫が使用後のフライパンと中華鍋に油を塗るのに使っているので、減りがはやくなっている。
着古したTシャツに、少しだけ切れ目を入れてビリビリッと割くのは、結構楽しい。アニメに出てくる悪い怪物が、力を誇示するために行うデモンストレーションみたいな感じ。

雨のため、布団干しは布団乾燥機で。マットなしタイプの布団乾燥機は、靴も乾燥できたり、セットもラクなんだけれど、以前使っていたマットありのほうが布団はフカフカになって嬉しい。
今のコンパクトタイプが壊れたら、マットありにしよう。かなり面倒くさいけれど、あの幸せ具合はなかなかすごい。

合間の読書は図書館から借りてきている、原田宗典の「〆太よ」。
図書館でたまたま見かけて借りてきた。

私がこの人の作品を熱心に読んでいた頃は、電子書籍はまだない時代だったので、Amazonのオススメにも出てこない。
そのせいか、2018年にこの作品が出ていたことも知らなかった。
この人の書く弱くて情けなくて、繊細過ぎるしょうもない主人公の男性たちが登場する小説は、懐かしく感じる地味な世界と小さな救いがあって、繰り返し読んだ。
「〆太よ」を読みながら、この作家は本当にすごいわ‥と改めて認識。ぐいぐい引き込まれる。感受性が尖すぎるというか繊細過ぎるから、書けない時期もあったのだろうと想像する。

もう一冊は、「ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした」。こちらも図書館で見かけて借りてきた本。

環境活動家だった著者が、環境活動から離れて自給自足の現代版ソローのような暮らしを始めた経緯とその具体的な暮らしの話が書かれている。
オーガニックスーパーの経営者だけれど、店の中はプラスチックだらけ、フェアトレードとはいえ、海外から持ってきた農作物。これってサスティナブル?と疑問を持つのは読んでみると最もだけれど、だからといって自給自足の生活をする人はいないだろう。
テクノロジーを使わないから、ネットもPCもないし、そもそもあっても忙しすぎて情報収集も発信もできないだろう。
著者は毎日の暮らしのことで頭がいっぱい、釣りに行って農作物育て、薪割りして、そうしないと暮らせない…。
都会の生活も忙しいけれど、自然の生活も忙しい。随分、忙しさの質は違うけれど。

お昼は夫の作ったジェノべソースと全粒粉パスタで済ませる。
夫から15時ごろ戻ると連絡がくる。予定から随分早くなったので、料理は全面的に頼むことにする。
ゴミ袋の在庫をチェックしたり、納戸整理したりあれこれしているうちにあっという間に時間が過ぎて、まだお風呂にも入れていない。
都会でも田舎でもない暮らしもそれなりに忙しいのよね‥と独り言を声に出す。

洗い物して、居間と縁側の掃除。

お風呂で「アンの愛情」を読みながら長風呂。

お風呂から出てきたらドッと疲れて、そのまま昼寝。
朝の雨は上がったけれど、気温は上がらず涼しくて、風も出てきてとっても気持ち良い。

目が覚めた頃に夫帰宅。
お疲れ様の乾杯をして、夫が道の駅で買ってきたという手作り無添加ポテトチップスを食べる。チップスそのものは美味しいけれど、油が市販のものよりずっと染み込んでいるのと、塩気が少なくて、微妙かも。
やっぱり市販のものってよくできてるのね。

夕方は犬の散歩ついでに、いつもの海の家。
途中で花火の音がして、くるみ(ミニチュア・シュナウザー)がとても怖がるので、帰宅。
昨晩、逗子海岸でシークレット花火があげられ、その音に驚いてからすっかり花火の音が苦手になってしまった様子。
その前の葉山の花火大会の音は離れているせいか大丈夫だったのだけれどなぁ。

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