雨の月曜日と村上春樹の本

店の開店少し前から雨が降り出した
予想していた以上に雨足が強い。
天気予報を確認すると関東甲信越地方も明日から梅雨入り可能性があるとのこと

いつも通り、平日の昼間にやってくるお客様は少なく、さらにこの雨となれば夕方も予約のお客様以外は誰も来ないかもしれない。

仕込みとその片付けが終わったところで、コーヒー豆をガリガリと音をたてて惹き、ペーパーフィルターでコーヒーを淹れる。
週末遠くからお越しいただいたお客様より頂戴した川本屋茶舗のガトーショコラを一緒にいただく。

雨の音が気持ちよい。
店の本棚を眺めながら、好きな本ばかりだと改めて思い、このお店の店主じゃなくてお客様になりたいわ、と妄想。
誰かがコーヒーを淹れてくれたり、燗酒をつけてくれたりしてくれるといいのに
お客様の一人である私は、好きな本をひたすら読んで、時折、飲み物や食べ物を思いつきで頼むのだ。

購入しておいたものの、まとまった時間が取れないことを理由に積読本になっていた「街とその不確かな壁」を手に取り読み始める

村上春樹の本は近年人気に陰りが出ているらしい
女性の登場人物への扱いが、現代にそぐわない…ようは女性蔑視があるというのがその理由らしい。

フィクションに現代の実情に合わせた見方を持ち込んでしまったら、村上作品に限らず大半の古い文学作品は女性蔑視が見受けられるだろう…

随分以前に、上野千鶴子先生が、「ノルウェイの森」について(だったと思うが)、あんな魅力に乏しい主人公とどうしてレイコさんのような成熟した大人の女性が寝たいと感じるなんてありえない、リアリティがない・・・・というような意見を書いていたのを読んだ記憶がある
(かなり前のことなので、記憶間違いが大きそう)

中学時代から村上春樹の作品を読み始めた村上信者の私としても、この御意見には「そりゃそうだ、さすが上野先生」と心の中で喝采を送った
この作品の「僕」は、確かに女性に性的衝動を起こさせるタイプには思えない(村上作品でセクシャルな魅力あふれた男性の登場人物ってそもそもいる?)

とはいえ、彼の作品の人気は、主人公の様々な場面の心の揺さぶられ方や人との距離の置き方やこだわり、そういったささやかだけれど大切なことが自身の人生と重なり、読者が共感するところではないだろうか私自身は捉えているため、どうも作品を通じて女性蔑視を感じたことはない。
私の感情移入先が、主人公の男性であって、性行為の相手となる女性ではないからというのもそこにもありそうだ。

そんな私でも、女性の取り扱い表現を問題視する人がいるという前提で読むと、これがなんだか気になってしまって、せっかく読み始めた「街とその不確かな壁」も途中途中で「うん、ここまでは特に問題視される表現はないな…」などと考えてしまい、これまでのようにスーッと村上ワールドに入れない。
まぁ、ぼちぼちと読み進めるうちに気づいたら壁の中に入っていることを期待して読み進めよう

ご予約のお客様のみの本日だったが、十分な売上
グループでご予約のお客様の場合は、ほとんどおしゃべりする機会はなく、淡々と飲食提供となることが多い。
楽しさは少ないが、疲れも少ない…ということに気づく
お客様との会話に気を使っているんだな…きっとそれなりに

店を片付けて、お店の半端な残り物を酒肴にして、以前から好きな芋焼酎・六代目百合をお湯割りにして、「ソーイング・ビー」の続きを観る
本日の酒肴は、茹でたほうれん草に醤油麹をのせたもの、ズッキーニとトマトのナムル、いんげんとゆで卵のサラダにアンチョビベースのドレッシングをかけたもの、手羽元の黒酢煮

明日も雨予報
明日・明後日が終われば定休日
さて、どこまで仕込むべきか悩むなぁ
まぁ、明日考えよう。

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