逗子日記:二〇二三年二月 魚上氷(うおこおりをいずる)

寒さで目を覚ましてみたら、3時過ぎ。
電気毛布のスイッチを入れて、そこから布団の中で再読中の「菜根譚」をだらだらと読む。
寝しなに電気毛布のスイッチを入れることはなくなったが、朝方はまだ寒く、電気毛布が必須だ。

「菜根譚」は読み返すたびに、自分の中にどっしりと居座る言葉が変わってくるのが面白い。

身体が温まってきて、仕事部屋に移動。
仕事部屋は気温11℃、湿度45%。やっぱり日に日に温かくなってきている。

昨年の同時期の日記を読むと、やっぱりこの日もバレンタインデーで、今の家に転居後の2日目だったようだ。

逗子日記:二〇二二年二月 魚上氷(うおこおりをいずる)

ここから1年が経ち、すっかりこの家での暮らしも落ち着いた。顔見知りとなり、挨拶を交わすご近所も随分と増えた。
この記事の写真を見ると、梅がまださほど咲いていないが、今は満開。今年はやっぱり少し暖かいのかもしれない。
昨年のような雪もなかったし、なんとなくだが今年は春の訪れが早い気がする。東京にいたときは、あまり季節の移り変わりに敏感ではなかったけれど、こうして七十二候を気にかけているのと、庭があるからか季節の動きが細かく気づくようになった。

庭から切った水仙の花を先週からお雛様の脇に飾っておいた。
こまめに手を掛けてもさすがに1週間だともう駄目になってきてしまった。そもそも風で倒れてしまっていたので、花瓶にうつしたというのもあるだろうけれど、庭のままだったらもうちょっと保ったのではないかとつい考えるので、また新しい水仙を着るのではなく、フェイクグリーンを使うことにした。
相変わらず切り花を処分するのは苦手だ。

久留米絣に祖母の染めた帯をしめる。今日はずっと机に向かっての仕事なので、帯は腰痛ベルト代わりにちょうどいい。

午前中はひたすらPCに向かって書き物仕事。
今日は夫も在宅で仕事。こちらはコタツで。

お昼近くなっても気温が全然上がらないので、二人とも今年それぞれ用に購入した半纏(はんてん)を着て、仕事をしている。PCを使っていなければ、アニメに出てくるような田舎のおじいちゃん・おばあちゃんだ。

頭寒足熱とはいったもので、エアコンはどうも仕事に適さない。頭がぼーっとしてきてしまうのだ。
夫はコタツで足を温め、私はひざ掛けと湯たんぽで足を温め、そこにこの半纏を組み合わせている。
半纏は布団を着ているような温かさで、その上軽く、今年の買い物ベスト5に入りそうなぐらい我が家では役立っている。問題は袖が動かしにくいので家事(特に料理)と食事のときに面倒なことだ。
日本の冬に本当に適したアイテムだと思うが、オシャレじゃない上に嵩張るのでオシャレなワンルームなどに暮らす若者にはまったくウケないだろう。

そうえいば祖母の家では冬になると掻巻(かいまき)という襟と袖のついた寝具を出してくれたけれど、あれはどこかで売っているものだったのか、着物の仕立直しだったのだろうか?

お昼は味噌ラーメンを作ってもらう。夫が洗い物をしながら「今日なんの日か知っている」と言い始める。
バレンタインデーのチョコレートはいらない・・という話だったと思うのだが。
どうやらチョコレートの代わりに晩御飯は外に連れてっていて欲しいという話らしい。
まぁ、今日はZoomもあるから、化粧もしているし、それもいいかなと思う(化粧しなくて良い日は化粧せず、そういう日は外に出ないと決めている)

大学の卒業制作に関連して、「サードプレイス―― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」を読み返している。あくまで参照本として目を通すだけにするつもりがついつい読み込んでしまい、あれ?何してたんだっけとなる。
中央大のときもそうだったけれど、私の大学卒業がいつもどんどん遅れるのはこの寄り道のせいだと思う。

卒業資格を仕事に活かそうとかがないから、せっかくの縁だから楽しもうとなり、ずるずる寄り道を楽しんでしまう。そして、まぁ仕事じゃないんだし、いいんじゃない?となる。
ただただこういう考え方あるんだーとか、こういう世界があるんだーというのが楽しい。
まぁ、回り回って仕事に役立っちゃうケースも実はすごく多いのだけれど、それは単なる偶然で想定外のおこぼれのようなもの。

気圧の影響による頭痛がひどいので、コーヒーを淹れる。
夫の分も淹れるときは、最近はもっぱらフレンチプレス。

350mlで二人分と考えていたけれど、我が家で使っているマグカップにはちょっと少ない。
500mlにするべきだったなぁ。
まともな喫茶店の一人分のコーヒーって、たしかに200mlはないかもしれない。

一人の分のときをフレンチプレスにして、二人分を淹れるときはペーパードリップにする?
うーん、それ当初の目論見と真逆の発想だ…。

夕方のZoomの会議を終えて、本日の営業終了。

Kindle Unlimitedに佐々木俊尚さんの「現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全―脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!」を発見。
発売されたときに、「大全」という言葉に何でもかんでもタイトルに「大全」かー、という時期で引っ掛かり、そのままになっていたが、Unlimitedとなれば話は別。
途中中断しながらでも読めそうなので、ちらちら読み始める。

晩ごはんに外に出たら思っていた以上に寒く、下駄ではなくてアザラシの草履で出るべきだったと後悔。

予定していた沖縄料理屋さんはお休みだったので、並びにある娘たちのお店へ。たまたま席も空いていたようで入ることができ、久しぶりの燗酒をあれこれ。
地元神奈川の純米酒というと、必ず名前が上がる川西屋酒造の「丹沢山」だが、今まであまりピンとくるものがなかったのだけれど、この日にいただいたこちらはとても優しいほんのりとした甘さが美味しかった。

どれも美味しかったけれど、印象に残ったのは初めて食べた牡蠣の塩辛。旨味がぎゅーっと詰まっていて、酒がいくらでも呑めるタイプの酒肴。
すっかり身体も温まって、帰りはそれほど寒さも感じないで帰宅。

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